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男女格差問題が米国で沸騰中!
スポーツの世界でも完全に平等か?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byGetty Images
posted2018/03/29 16:30
2015年の女子サッカーW杯優勝および2回の五輪金メダルを誇る女子サッカーの“レジェンド”アビー・ワンバック。
スポーツ強豪校では必然的に女子選手も強くなる。
大学に在籍する男女比が学生アスリートへの奨学金配分と同じでなければならないため、男子スポーツに力を入れているから奨学金をあげるのは男子のみで、女子は自費で活動してください、ということは通用しなくなった。
強豪校では200人近い男子選手が奨学金を受けているが、女子選手にも同額奨学金を与えなければNCAAの規則違反になるため、男子のスポーツが強い大学は、女子も必然的に強くなるという相乗効果もある。
アメリカの女子が五輪や国際大会などで活躍している背景には、このような法律やNCAAの規則による部分が大きい。
プロバスケ選手の数だと、女子は男子の半分以下。
法律によって平等が守られている大学スポーツとは打って変わって、プロの世界はシビアだ。
アメリカには男子同様、女子もバスケット、サッカー、野球、アイスホッケーなどのプロチームがあるけれど、いずれも平均観客動員数で男子に大きく劣る。
バスケットは男子が約2万人に対して女子は約7700人。
サッカーは男子約2万人に対して女子は約5000人。
野球は約1100人、ホッケーは900人とかなり厳しい状態だ。
この数字はもちろん広告売上やスポンサーなどにも響いてくるため、彼女たちの年俸はかなり低く、オフシーズンにはアルバイトをする選手も多い。
大会での賞金も、競技や男女同時開催か否かによって異なる。
イギリスのBBCによると世界選手権やワールドカップなどでは、8割近い大会で男女同額の賞金を提供しているという結果も出ているが、サッカーのように桁違いの格差がある競技もある。