フランス・フットボール通信BACK NUMBER
アッレグリ? ジダン? それとも……。
そろそろPSGは監督を新しくするべき。
posted2018/03/29 11:15
text by
クリストフ・ラルシェChristophe Larcher
photograph by
Alain Mounic
2011年にニコラ・サルコジ大統領(当時)の仲介により「カタール・スポーツ・インベストメンツ(QSI)」に買収されたパリ・サンジェルマンは、財政規模や選手の顔ぶれ、その野心においてヨーロッパのトップクラブのひとつとなった。
だが、今季もまたチャンピオンズリーグでは、レアル・マドリーに行く手を阻まれラウンド16で敗退。頂点への展望すら抱けずにいる。
生みの苦しみといえばそれまでだが、原因はどこにあるのか。
『フランス・フットボール』誌はその一端が監督にあると結論づけている。
セビージャをUEFAヨーロッパリーグ3連覇に導いたウナイ・エメリは、ヨーロッパの頂点を目指す監督としては相応しくなかった。
ならば誰が適任者であるのか?
ペップ・グアルディオラやジョゼ・モウリーニョ、ユルゲン・クロップといった北イングランドで指揮を執る監督たちには、クラブを替わる可能性がほぼない。3月13日発売号で、クリストフ・ラルシェ記者が候補者を分析する。
監修:田村修一
かつてのPSGを知り、今も近い立場にある男。
ヨーロッパの階段を駆け登るためにパリ・サンジェルマンは、経験とカリスマ性、野心をあわせ持つビッグネームを監督に据える必要がある。潜在的な候補者をFFが独自に評価した。
●カルロ・アンチェロッティ(イタリア、58歳)
昨年9月にバイエルンの監督を解任されて以来、「カルレット」(アンチェロッティの愛称)には所属先がない。
ここ数カ月の彼は、国際シーンの動向をじっと観察し続けている。2011年から2013年に指揮を執ったPSGともコンタクトを取っている。選手として2度、監督では3度チャンピオンズリーグを制覇し、パルマ、ユベントス、ミラン、チェルシー、レアル、バイエルンでキャリアを築いてきた彼は、電話やSNSでふたりのチアゴ(チアゴ・シウバとチアゴ・モッタ)から、PSGの情報を継続的に入手しているという。
PSG監督時代の彼は、即座の結果を求めるクラブ首脳に苛立ち、レオナルドGMとの関係も冷え切ってしまい、自らのプロジェクトを実現することなくクラブを去った。
だが、ナセル・アルケライフィ会長に怒って辞めたわけではなく、他のクラブでもベルルスコーニ、アブラモビッチ、ペレスらとは今も良好な関係を保っている。そして何よりも、PSGへの復帰に前向きであるという。
◆FF(『フランス・フットボール』誌)の評価
もしもQSIが2013年に彼を雇用し続ける見識があったら、PSGは少なくとも10年はチャンピオンズリーグ優勝に絡み続けられただろう。今日のPSGはさらに規模を拡大しているが、彼にはそれに対応できる重厚さがある。
クラブをさらに高いサイクルへと導くことができるだろう。彼の名前はクラブの野心と同義である。
ロッカールームが解任を求めていたとはいえ、CLグループリーグでバイエルンがPSGに0-3と完敗を喫したのは、彼の獲得を目論む一派には衝撃だった。22年に及ぶ監督生活での、例外的なエピソードであると思いたい。
★PSGへの貢献可能性=9/10 (10点満点中の9点。以下同様の表示)