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男女格差問題が米国で沸騰中!
スポーツの世界でも完全に平等か?

posted2018/03/29 16:30

 
男女格差問題が米国で沸騰中!スポーツの世界でも完全に平等か?<Number Web> photograph by Getty Images

2015年の女子サッカーW杯優勝および2回の五輪金メダルを誇る女子サッカーの“レジェンド”アビー・ワンバック。

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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Getty Images

「アメリカのスポーツの世界では、男子選手と女子選手の待遇や環境は平等だと思いますか?」

 五輪やパラリンピックなどでは、ほとんどの競技で男女の性差がなく実施されるほか、メダルの報奨金の金額なども同じに設定されているため、「イエス」と答える人が多いような気がする。

 ではアメリカの大学スポーツ、プロスポーツではどうだろう。

 原稿を書いている現在、アメリカの大学バスケットボールのトーナメント「マーチ・マッドネス(英語:March Madness)」で盛り上がっており、準決勝に勝ち上がったファイナル4が決定した。これは日本の高校野球のような感じで、出身校や地元の大学を熱狂的に応援するファンが多い。

“ブラケット”と呼ばれる対戦表を見ながら、ああでもない、こうでもないと勝敗を予想し、職場などで賭けをする人もいるほどの盛り上がりを見せるのだが、注目してほしいのは、男女同時にトーナメントが進行し、男女ともに全試合が中継される点だ。

 そう、アメリカの大学スポーツは「男女平等」が基本だ。

1972年に男女平等が法律化したアメリカ。

 アメリカの各大学には奨学金をもらって勉強しながら競技をする「学生アスリート」が多数在籍している。学費や寮費、生活費などの補助を受けているのだが、奨学金の金額、人数などは全米大学体育協会(以下NCAA)によって男女平等が義務付けられている。

 元々このような規則があったわけではない。

 政府の補助金を受けている教育機関では、男女の性別によって教育や活動機会を差別してはいけない、という「タイトルIX」と呼ばれる連邦法が1972年にできたことが影響しているのだ。

 これは学校における勉学や文化活動だけではなく、スポーツ分野にも該当し、それまで男子にだけ与えられていた練習環境や奨学金も女子学生に提供することが法律で定められた。

【次ページ】 スポーツ強豪校では必然的に女子選手も強くなる。

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