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日本人なら今年のMotoGPは必見!
ホンダ対ヤマハの構図と中上貴晶。
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2018/03/16 07:00
例年にも増して今年のチームの雰囲気が良いと感じているというマルケス。
ヤマハの開発の悪循環も昨年限りか。
昨年の課題だったリアのトラクションの問題。
一概には言えないが、ソフトタイヤではタイヤがもたず、ハードではグリップしない。それはビニャーレスもロッシも同じだが、その状況を改善するために、新旧の車体とエンジン、それに加えてさまざまなエアロパーツを組み合わせてのテストが続き、本来のヤマハの良さを見失っていたように思うからだ。
現在のMotoGPは、ありあまるパワーをどれだけうまく使えるか、にかかっている。
2年前から実施されたエンジン・コントロール・ユニット(ECU)の共通ソフトウエアは、それまでの独自ソフトウエアに比べて、かゆいところに手が届かない。結果として、エアロパーツやマフラーなどで解消をしていくことになるのだが、その状況になればなるほど、ヤマハの緻密なバイク作り、大きな変化をこのまない保守的な手法が“好結果”を招くはずなのに、あれもこれもやりすぎて、余計道をうしなっているように感じるからだ。
それを証明したのがルーキーのヨハン・ザルコであり、今年も彼の活躍がいい意味でヤマハワークスには刺激になるはずだ。
開幕戦はヤマハの完全復活が見られるかも?
そうしたことに気づいているスタッフも多いが、ライダーの要求にすべて応えようとしていることがどうも裏目に出ているような気がしてならない。
言い方は厳しいが、昨年も開幕戦カタールGPでビニャーレスとロッシが1位と3位でフィニッシュしたことが、それからの方向転換を難しくしたと思われる。
今年も直前のウインターテストで好結果が出た。シーズンを通して特殊なサーキットとして知られるロサイルで良かったことをどう評価するのか。昨年と同じ道を歩んでいるのではないか――。
それを思えば、今年の開幕戦カタールGPは、厳しい結果に終わった方がヤマハの完全復活はあるかも知れない。