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主力を抜かれても「ノープロブレム」。
岐阜と大木武“持たざる者”の流儀。
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2018/03/15 11:15
FC岐阜の過去最高順位は、2009年のJ2で12位。大木体制2年目、スタイルが浸透してきた手応えはある。
新戦力のデ・フリースも始動。
この試合では、開幕3戦目にして初めてベンチ入りした新戦力のライアン・デ・フリースが途中出場。これも明るい材料だ。
出身地である南アフリカと移住先のニュージーランドと両国の国籍を持ち、2015年にはニュージーランド代表に選ばれている。左サイドを主戦場とするテクニカルなFWで、オークランド・シティ時代にはクラブW杯に5度出場。サンフレッチェ広島('15年)、鹿島アントラーズ('16年)との対戦経験もある。
2月は真夏の南半球ニュージーランドから、気温が氷点下の真冬の日本に来たため、コンディション調整に時間を要した。足を痛めていたこともあり、シーズン前のキャンプでは、ほとんど実戦ができなかったそうだ。
やっと今月4日のサウルコス福井との練習試合で、来日以来初めてとなる90分間フル出場。すると、いきなり2得点に絡んでみせた。
そのプレーぶりに、大木監督も「アイツは見えているね。自分がこの位置でボールを持ったら、次は敵と味方がどうなって、こうなっていくというのが分かっている。あのプレーは分かっていないとやれないよ」と感心した様子。
J2でもっとも若いチーム。
デ・フリース本人も非常に意欲的だ。
「オークランド・シティのラモン・トリビュリエッチ監督が、バルセロナ生まれの人で、バルサのスタイルを採り入れていました。フォーメーションも岐阜と同じ『4-3-3』でしたし、ボールを持って攻撃的にプレーする点では、岐阜と似た部分があると思います。
自分の好きなタイプのサッカーなので、日本での挑戦を楽しんでいきたい」
千葉戦でも短い出場時間ながら、丁寧なタッチでラストパスを送るなど、ポテンシャルの片鱗をうかがわせていた。
今シーズンFC岐阜に在籍する28選手のうち、30代の選手はわずか3人。開幕戦からここまでの3試合、スタメン11人の平均年齢は24.09歳、23.64歳、24.82歳と、すべての節でJ2リーグ22チームのなかで、最も若いメンバー構成になっている。
個性あふれる指揮官のもと、未熟さと可能性をあわせ持った若いチームが、どんな紆余曲折を描いていくのか。今年もまた面白いことになりそうだ。