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平塚、川崎、鹿島、そして福島で見た、
26年目のJリーグとホームタウン。
posted2018/03/16 16:30
text by
川端康生Yasuo Kawabata
photograph by
Yasuo Kawabata
26年目のJリーグが始まった。「百年構想」でいえば4分の1が過ぎたことになる。
そんなシーズンの始まりは、開幕節の平塚を皮切りに川崎、鹿島、福島でゲームを見た。平塚ではここ9年で4度目のJ1挑戦となる湘南ベルマーレが、初昇格のV・ファーレン長崎と開幕戦を戦った。
湘南は、というよりベルマーレはかつて「平塚」だった。1998年に親会社の経営不振が表面化。1年の猶予期間を経て、2000年から新会社にチームを移管し、「湘南」へと生まれ変わった。
親会社はゼネコン準大手のフジタだった。ちょうどバブル崩壊後の日本が“失われた10年”の中にいた頃。不動産不況の大波はまず親会社を飲み込み、そしてその子会社であるサッカークラブにも波及したのだ。
Jリーグ史上最大の悲劇――横浜フリューゲルスの消滅が同じ構図で起きたことは言うまでもない。
クラブの経営危機は、存在意義を揺るがした。
ベルマーレやフリューゲルスだけではなかった。ヴァンフォーレ甲府、サガン鳥栖、大分トリニータ……。存続危機に瀕するクラブは次々と現れた。
「企業スポーツからの脱却」を掲げて創設したJリーグにとって、その存在意義が揺らぐピンチだったと言っていい。
その意味で、経営諮問委員会の設置、クラブライセンス制度の発足といった一連の施策は、クラブのみならず、Jリーグそのものの存続をかけた戦いでもあった。結果的に縮小均衡を招いた面もあるが、それでも悲劇が繰り返されることはなく……。
昇格チーム同士の開幕戦はベルマーレがV・ファーレンを下して白星発進した。J1定着を目指すチームにとって幸先のいいスタート。消滅することなく存続したからこそ挑める、希望のシーズンである。