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サンウルブズは「ロマンより勝ち点」。
観客がトライを求めて騒然としても。 

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永田洋光

永田洋光Hiromitsu Nagata

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2018/02/26 11:40

サンウルブズは「ロマンより勝ち点」。観客がトライを求めて騒然としても。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

サンウルブズは、前半終了時点を4点リードで折り返した。後半に逆転を喫したとはいえ、世界との距離は確実に縮まっている。

攻守に数字ではサンウルブズが優位。

 ディフェンスも、力負けしない選手たちが素早く前に出てブランビーズに圧力をかけ続けた。

「ディフェンス・リーダーとしての責任感を感じながらプレーした」というCTB中村亮土は、「チーム全体でパスする選手にプレッシャーをかけようと意識して、いいディフェンスができた」と、振り返った。

 強さとサイズを持った選手が、骨惜しみすることなく圧力をかけ続ければ、アタック力の高いブランビーズでもミスをする。スタッツを見れば、ブランビーズのハンドリングエラーは12で、サンウルブズの8を上回る。タックル成功率も、サンウルブズが88%でブランビーズが80%。

問題は、押し込まれた時の「脱出方法」。

 しかし、それでも勝てなかった。

 敗因は「脱出」の拙さ。

 HCも選手たちも「EXIT(エグジット)」という言葉を使ったが、要は、自陣深くに押し込まれたピンチからどう脱出して、攻勢につなげるか――その「出口」を上手く作れなかった。

 前半に、ブランビーズは2トライ(1コンバージョン)1PGの15点を挙げているが、これらの失点は、先発FBロビー・ロビンソンが脱出を図ったキックのミスが起点。後半立ち上がりには、自陣深くで相手ボールを奪いながら、強引に攻めようとした流のパスがゴールポストに当たり、それを拾われて逆転のトライを許した。

 流自ら「悔やんでいるし、反省している」と振り返ったが、「練習では経験できない厳しいプレッシャー」(ジョセフHC)を、高い授業料を払って味わう結果となった。

 現実路線に則ったメンバー起用が奏功して観客にロマンを持たせた開幕戦は、細かいプレーのリアリティに少し欠けた分だけ相手にスコアで上回られ、最後にアンチクライマックスな現実的選択を余儀なくされた。

 この手応えと課題を、3日のレベルズ戦(秩父宮 13時15分キックオフ)でどこまできちんと整理して、結果につなげられるのか。

 今、サンウルブズの緻密なリアリティが問われている。

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