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サンウルブズは「ロマンより勝ち点」。
観客がトライを求めて騒然としても。
text by
永田洋光Hiromitsu Nagata
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/02/26 11:40
サンウルブズは、前半終了時点を4点リードで折り返した。後半に逆転を喫したとはいえ、世界との距離は確実に縮まっている。
メンバー選びにも見える現実路線。
最終スコアは25-32。
ロマンではなくリアリティを求めたサンウルブズは、1ポイントを獲得して、新しいシーズンに乗り出したのだった。
現実路線は、試合前から感じ取ることができた。
ジェイミー・ジョセフHCは、メンバー発表に際してこう言った。
「主力と思われているメンバーが入っていないので、みなさんにはサプライズかもしれない」
昨秋日本代表のキャプテンに復帰したリーチマイケル。'15年W杯以降、日本代表でもサンウルブズでも攻守の核となっていた立川理道。司令塔の田村優。数々の華麗なトライを挙げてきた山田章仁……彼らは23名のメンバーには入らなかった。
代わりに入ったのは、トップリーグで活躍した外国人選手や、今季からサンウルブズと契約した新しい選手たち。そのなかにはキャプテンを務めたSH流大や姫野のような日本人選手もいたが、ジョージア出身のジャバ・ブレグバゼのような東欧出身者もいて、実に多国籍。
狙い通りの形で攻撃がトライにつながる。
「これまでトレーニングでベストを尽くしてきた、今、もっともコンディションのいい選手を選んだ」とジョセフHCは説明したが、見方を変えれば、昨季プレーオフに進出した強豪に対し、現実的にサイズと強さを備えた選手を揃えたと、とれなくもない。
そして、策は功を奏しかけた。
3点を先制されて迎えた前半9分には、ゴール前のラインアウトからモールを押し込んでサウマキがトライ。
19分には、スクラムから20フェイズを連続する分厚いアタックを仕掛けてCTBラファエレ・ティモシーがトライ。
ブランビーズに1トライ返された29分には、相手のタックルミスをついてラファエレがゴールに迫り、サウマキにラストパスを通して19-8とした。
流は、そんな前半を、「準備してきたプレーでトライをとれたことが良かった」と評価する。