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内田博幸が選んだ「超大外」の理由。
フェブラリーS王者はノンコノユメ。
posted2018/02/19 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
直線で、昨年の覇者ゴールドドリームが先頭に躍り出た。「ゴールド=金」が連覇。ということは、前日、平昌五輪で金メダルを獲った羽生結弦にちなんだ「ゆづ君馬券」か――と思われたが、内田博幸が乗る4番人気のノンコノユメ(せん6歳、父トワイニング、美浦・加藤征弘厩舎)が凄まじい脚で差し切り、第35回フェブラリーステークス(2月18日、東京ダート1600m、4歳以上GI)を優勝。
自身にとっても、厩舎とオーナーにとっても、嬉しいJRA・GI初制覇となった。
1番人気のゴールドドリームは首差の2着、3着は6番人気のインカンテーションだった。
ノンコノユメ陣営のプランどおりのレースになった。
レース前、加藤調教師は内田に言った。
「直線では、砂をかぶらない外に出してほしい」
内田もそうするつもりだった。特に同じ追い込み馬で、近いポジションで進むことになるゴールドドリームに外からかぶせられたり、砂をかけられたりしたくなかった。
「自分のリズムを保って後ろから行き、外に出せば必ず伸びる。だから、4コーナーで、前の有力馬とどのくらいの位置関係にいるかがポイントになると思っていました」
直線なら、外でも距離ロスはない。
ノンコノユメは12番枠、ゴールドドリームは14番枠からの発走だった。
ゲートがあくと、内田はゴールドドリームら外の馬を先に行かせながらノンコノユメを大外に持ち出した。それも、ほかの15頭からポツンと離れ、1頭だけ別のレースをしているかのような「超大外」だった。
東京ダート1600mは、2コーナーの芝コースからスタートし、長い向正面を走ってから3コーナーに入る。内田はこのコース形態を利用した。
「コーナーで大外を回ると距離ロスになりますが、向正面の直線で外を走っても距離ロスすることはない。だから、3コーナーまでは砂をかぶらない外を通りました。砂をかぶると(馬が嫌がって)スピードが落ちるので、前にいる有力馬から離されてしまう。調教から動きのよかったゴールドドリームには、あまり離されずに直線に入りたいと思っていたんです」