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井山七冠の幼馴染がフッキ封じ!?
川崎のクレバーな雑草、登里享平。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/02/19 07:00
久々に等々力へと戻ったフッキに仕事を許さず。川崎は負けたが、局面勝負で軍配が上がったのは登里だ。
等々力帰還のフッキをどう抑える?
登里が緊張するのも無理はない。
ピッチで対峙する上海上港の右サイドFWは、あのフッキだ。Jリーグから欧州に渡り、ブラジル代表にまで登りつめた怪物ストライカーも30歳を超えたが、あのパワフルな突破力と爆発的なシュート力はいまだ健在。かつて川崎にも在籍していたフッキの、10年ぶりとなる等々力帰還をサポーターは試合前に拍手で迎えている。
当然ながら、ピッチでは「フッキをいかに封じるか」は、試合展開を左右する大きなポイントとなっていた。マッチアップする登里は、そのミッションを任されたキーマンだった。
結論から言うと、登里の対応は見事なものだった。
対人守備には自信があるが、サイドでフッキと対峙しても一発では奪いに行かず、縦のコースを消して間合いを作った。そしてすばやく複数の人数で囲い込む局地戦で対抗する。
「フッキにボールが入ったときには、しっかりと時間を作ること。個人でボールを取れればいいですけど、時間を作りながら、まわりのサポートを待ちました。なんとかやれたかな」(登里)
大久保いわく「あいつはフッキに強い」。
左サイドハーフの位置からサポートに駆けつけた大久保嘉人は、こう振り返る。
「ノボリが前を塞いで、自分が挟む。あいつはフッキとかパトリックに強いから。パトリックを練習から抑えていたから、全然安心していたよ」
左ボランチの大島僚太も同様で、「ノボリさんが縦をふさいで、そのプレスバックをする。それをみんな意識してやれていたかなと思います」と手応えを口にした。川崎の左サイドにいた3人はみな170cm前後だが、まるで囲碁で相手の石を囲い込むかのように、巧みな密集戦でフッキからボールを絡めとった。
密集戦だけではなく、フッキに入るパスが来ると、鋭い読みを利かせて小さい身体を潜り込ませながら出足の良いカットを連発。登里のクレバーな守備に、バックスタンド側にいるサポーターから幾度となく拍手が起きている。