野球のぼせもんBACK NUMBER
王会長が「速いね。どこの高校?」。
SBの背番号134左腕、長谷川宙輝。
posted2018/02/16 07:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
異例のキャンプインとなった今年のホークス。
この時期といえば、新戦力や台頭が期待される若手選手たちがホットな話題を提供してくれて、ファンの高揚感を大いに刺激してくれるもの。だが、2月1日、昨年日本一に輝いた鷹戦士の顔ぶれは代わり映えしないものだった。
特に投手陣だ。A組ピッチャーは11名だけ。レギュラーシーズン中でも通常13名が一軍登録をされており、それよりも少なかったのだ。
大体どの球団でも春季キャンプの序盤では「若手枠」が設けられる。ホークスだって昨年は例外でなかった。じつは今年と真逆で、21名もの投手がA組入り。背番号3桁の育成選手までもが抜擢されていたのだ。
だが、シーズン開幕まで争いに生き残って一軍キップを勝ちとったのは石川柊太と笠原大芽の2人だけだった。笠原は登板機会が少ないまま早々に二軍落ちしており、実質は石川1人だけだったと言ってもいい。
「生き残れ」から「勝ち上がれ」に。
工藤公康監督は、そうした若手に寂しさを感じていた。
「選ばれた選手たちが、自分たちが力をつけて将来のチームを担うんだという覚悟を持ってやっていたかというと疑問。正直、A組に満足していたのではという部分も見受けられました。キャンプ中に一度、そして福岡に帰ってからも改めてピッチングコーチから『しっかり競争の意識を持ちなさい』という話をしてもらいましたが」
今季の大胆な方針転換は、それが根幹だ。
「今年に関しては投手コーチの考えもありますが、若い人は下からしっかり頑張ってもらおうということ。昨年は『生き残れ』。今年は『勝ち上がってこい』。その方が選手のモチベーションが上がることを期待しました」
また、倉野信次投手統括コーチは「第3クールを目途に5、6人の昇格は見込んでいる。ベテラン、若手、育成は関係なくフラットに評価をする」と話していた。