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王会長が「速いね。どこの高校?」。
SBの背番号134左腕、長谷川宙輝。 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2018/02/16 07:00

王会長が「速いね。どこの高校?」。SBの背番号134左腕、長谷川宙輝。<Number Web> photograph by Kyodo News

「ソフトバンクの育成選手」はもはや登竜門のようになりつつある。長谷川宙輝もその系譜に名前を連ねるか。

背番号は3ケタでも、注目度は最高。

 果たして11日、迎えた第3クールの初日。その宣告どおり計5名がA組に昇格してきた。ベテランの寺原隼人。若手では笠原大芽と笠谷俊介。育成枠からも野澤佑斗、長谷川宙輝である。

 その中でも、特に注目度が高いのが長谷川宙輝だ。

 背番号134ながら、若手の超有望株と評されている。

 8日にA組に一時合流して打撃投手に登板。この日は武田翔太もマウンドに立ったが、工藤公康監督は「(この日登板した4投手で)一番よかったのは長谷川じゃないかな」と即答。王貞治球団会長も「速いね。どこの高校(出身)だっけ?」と目を丸くして驚いたという。

なぜこの逸材が育成ドラフトに?

 東京都の聖徳学園高校からプロ入りした。甲子園出場経験はなく西東京大会3回戦が最高という無名の存在だったが、2年生の秋には1試合20奪三振を記録したことがあった。

 ホークスの関東地区担当スカウトである山本省吾がこの左腕の存在を知ったのは、まさにその時期だった。

「初めて見た時に驚きました。粗削りでしたが、本当にいいボールを投げた時の威力、キレが抜群でした。高校2年生当時の僕と比べても、彼の方が断然上だと思いました」

 山本スカウトといえば、星稜高校から慶応大学を経てドラフト1位で近鉄バファローズ入りした左腕。高校2年生時には、夏の甲子園で準優勝を果たした実績がある。

「本当に僕よりスゴイ。同じ左腕ですからね。分かるんですよ」

 '16年育成ドラフト2位でホークスから指名を受けた。この逸材を育成枠で獲得できたのは他球団がノーマークだという情報を得ていたからだ。やはりこのチームのスカウト力は見事である。

 ルーキーイヤーの昨年、二軍公式戦の登板は3試合しかなかったが、インパクトのある内容だった。3イニング無失点、6奪三振をマーク。140km台後半のストレートをどんどん投げ込んだ。

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