野球のぼせもんBACK NUMBER
王会長が「速いね。どこの高校?」。
SBの背番号134左腕、長谷川宙輝。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/02/16 07:00
「ソフトバンクの育成選手」はもはや登竜門のようになりつつある。長谷川宙輝もその系譜に名前を連ねるか。
理想の選手はチェン・ウェインと松井裕樹。
「高校時代は144kmだった最速は、149kmまで伸びました。何より平均球速が10kmほど上がったのは自分でもびっくりしました」
高校の野球部が、練習量はそれほど多い方ではなかった。ウエイトトレーニングに本格的に取り組み始めたのもプロ入りしてからだった。
「ウエイトは好きです。1年目は体重が入団時から3kgアップ(72→75)くらいでしたが、体の中身はまるで変わりました」
注目度は高まるばかりだが、本人は謙虚な姿勢を崩さない。今時の若手選手にしては珍しい。
「周りの評価は嬉しいですが、実際にはまだ育成選手の立場です。背番号がこのままなら、来年はこのユニフォームを着られるか分かりませんから」
将来像を訊ねると「ピンチの場面で出て、そこを抑えるリリーフ投手になりたい」と目を輝かせる。理想の選手はかつてドラゴンズでも活躍した大リーガーのチェン・ウェイン(マーリンズ)とイーグルスの松井裕樹。
ホークスは長谷川宙輝のほかにも同じ2年目の古谷優人や4年目の笠谷俊介ら、有望サウスポーの宝庫となっている。ライバルは多いが、刺激し合うことは成長の促進にもつながる。現在は右投手の豊富なホークスが、いつの日か左腕王国へと変貌を遂げることになるかもしれない。