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スキージャンプの「台と風」問題。
高梨、伊藤らが語る平昌の難しさ。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2018/02/09 11:50
ソチに続き金メダル候補として五輪に臨む高梨沙羅。ジャンプ台と風を味方につけることができるか。
ジャンプはミスが許されない繊細な競技だ。
この日の公式練習では言葉どおり、平昌のジャンプ台の感覚を捉えられたと感じられたのだろう。だからトップには立てなくても笑顔を見せた。
平昌五輪を前に海外で合宿を行い、精力的に練習に取り組んだ。そこで図った修正の成果とも言える。
ただルンビやドイツのカタリナ・アルトハウスをはじめ、ライバルは多い。
ソチ五輪当時と様変わりしたと言えるほど、女子のレベルは上がっている。
「ミスが許されません」と今シーズンについて高梨は言うが、緊張から来る些細な力の入れ加減1つで100m走のタイムが変わってしまうように、ジャンプもまた繊細な競技だ。
つかんだ感覚を活かせるかどうか、そこに勝負はかかってくる。
「緊張感はもちろんありますが、目指しているものは金メダルです。挑む気持ちで最後に勝ちきれるように高めたいです」
そして、緊張と戦うのは高梨だけではない。その中で、自分のジャンプに徹することができるかどうか。4年間、1日も忘れずにいた悔しさをばねに積み重ねてきた時間は、そのための力となるはずだ。
伊藤有希は昨年の平昌大会で優勝。
もう1人の日本代表選手である伊藤有希は、1本目で100.5mと全体3位、2本目は94.5mで7位、3本目は101.0mで6位を記録。
「しっくりきている感じはないですが、まだ日にちがあるので、しっかりやることを決めて取り組んでいきたいです」
と、きっぱり語った。
昨年の平昌での大会では、1戦目で優勝している。
「いいイメージはあります」と言うように、そのときの好感触も材料に、巻き返しを誓う。