オリンピックへの道BACK NUMBER
渡部暁斗が欲しいのは金メダルだけ。
「2という順位、数字は見飽きた」
posted2018/02/04 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
大舞台を、これ以上ない状態で迎えようとしている。ノルディック・コンバインドの渡部暁斗だ。
1月26日から28日にかけて、オーストリアで行なわれたワールドカップでは3試合すべてで優勝。内容を見ても、前半のジャンプでリードを奪い、後半のクロスカントリーではゆとりをもって逃げ切るという磐石の展開だ。
「タイム差を考えれば、簡単なレースでした」
渡部も言う。
この3連続優勝で、今シーズンのワールドカップ総合成績でも首位に立った(1月31日現在)。
「(銀メダルを獲得したソチ五輪よりも)金メダルとの距離は、確実に近くなっています」
長いキャリアを経て、ようやく世界一が見えてきたと手ごたえを感じている。
安定した成績は、徹底した技術の探究心がベース。
渡部は現在29歳。2006年、高校2年生のときにトリノ五輪に出場。2010年のバンクーバーに続き、3度目のオリンピックとなったソチで、銀メダルを獲得している。その足跡を支えてきたのは、徹底した技術へのこだわりにうかがえる貪欲なまでの探求心だ。
日本代表ヘッドコーチの河野孝典氏が「もっとも質問してくる選手」と言ったことがあるのは一例だ。また、大学卒業後は竹内択、日本代表ヘッドコーチの横川朝治氏とともにジャンプの技術を磨いた。
大きく成績が沈み込むことなく、安定して上位で活躍する選手となれたのは、細かなところをおろそかにせず、積み重ねてきた技術があるからにほかならない。