太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
太田雄貴会長の大仕事、全日本選手権。
フェンシング大会でダンスにLED!?
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph byYasunobu Seo
posted2018/01/24 08:00
4年に1度オリンピックの時期にだけ見るスポーツ、という枠を超えてフェンシングが見られるようになるために。
スタッフが代わったわけではなく、意識の問題。
こうして高円宮杯と全日本選手権、2つの大きな大会をなんとか無事終えることができました。周りの方々も、若くして会長になった私の最初の仕事ですから、なんとなくですが「お手並み拝見」といったムードがあったように思います。でも、こうして劇的に変えることができた。
大事なのは、一部の外部スタッフを除けば、私が会長に就任する前からのスタッフをほぼ代えずにやりきれたということ。失礼を承知で言ってしまえば、もともと「やればできる」人たちが揃っていたのです。
みなさんそれぞれに、フェンシング界をもっとよくするために何をすべきかを考えてくれています。それをどんどん実行に移せばいい。
確かに私は会長になりましたが、私だけでできることなんて限られています。だから「私にあまり期待しないで、自分たちでやってください」とよく言うようにしています。組織として強くなるためにまず必要なことは、個々人が強くなること。その第一歩を、この2つの大会の運営を通じて踏み出すことができたと考えています。
もちろん、まだまだ課題は山積しています。
たとえば全日本選手権、今回は個人戦の大会の改革に力を注ぎましたが、実は翌週に福井で団体戦が行われました。そちらはまったくの手付かずでした。2018年の国体のプレ大会(リハーサル大会)という位置付けでしたので、あまり手を加えるわけにもいかなかったのですが、地方から「東京でやる個人戦だけ力を入れるんですか?」といった声が上がったことは事実です。
正直、もどかしさはあります。
でも、限られたリソースをどこにどう分配していくかは本当に難しい。全日本規模の改革を行うのにどれだけ予算が必要で、どこからどうやってスポンサーを集めていくか。またスポンサーに「テレビの露出度は?」と聞かれたときにもまったくデータがなかったりする。
そのデータを集めるのにもコストがかかる。四重苦、五重苦の中でこれからも決断を下していかなければならない。
目標はフェンシング人口を1000人増やすこと。
いま、全日本選手権の個人戦の時期の変更について、検討を始めています。
それは、団体戦をより意義のあるものにするためにも必要なことではないか。
団体戦は、観ている側も応援合戦になりますし、大変盛り上がるはずなんです。でも個人戦とたったの1週違いで開催されてきたこともあり、昔にくらべてあまり大事にされていないような状況となってしまっています。
一方で個人戦については、フェンシングの世界選手権が毎年7月に開催されますから、その代表を決める大会として、より本番に近い時期にやったほうがよいのではないか。
そこで団体戦は12月に残しつつ、個人戦の全日本チャンピオンを決める大会を春に開催してみては、と考えています。
2018年の目標は、現在6000人ほどのフェンシング人口(協会登録者数)をこの1年で7000人にしていくこと。
そのために、今年もさまざまな手を、スピード感をあげて積極的に打っていきます。
皆さんも是非、フェンシング界が日々変わっていく姿に、今年も注目していてください。