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勝利至上に罪はない。~カヌーのトップ選手が、ライバルに薬物を盛ったのは本当に勝利のためだったか~ 

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藤島大

藤島大Dai Fujishima

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posted2018/01/23 10:30

勝利至上に罪はない。~カヌーのトップ選手が、ライバルに薬物を盛ったのは本当に勝利のためだったか~<Number Web> photograph by KYODO

2010年11月のアジア大会で3位になった7年前の鈴木康大。

 ドーピング。思い浮かぶのは、かつての東ドイツの女子砲丸投げ選手、ハイディ・クリーガーの変わり果てた容貌である。冷戦下、体制の求めでホルモン剤を執拗に投与され、もはや年齢相応の「男性」として生きる。

 スポーツを権力維持の手段とする独裁政治。札束に目のくらんだ悪徳医師。強欲なエージェント。2018年1月、日本で明らかとなった事件には、それらの影は見当たらない。まるで小学校のクラスで起きる出来事のようだ。

 自分より運動や勉強の得意な友だちの上履きを下駄箱から隠す。椅子にこっそり画鋲を置く。そして給食の牛乳に……。

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