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<日本アイスホッケーの未来を背負って>
スマイルジャパン「心をひとつに」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNanae Suzuki
posted2018/02/01 11:00
右から大澤ちほ、藤本那菜、鈴木世奈。
アイスホッケーの発展につなげるためにも。
苦労する先輩や辞めていく選手の姿も見てきた藤本は、メダルへの自身の思いをこう語る。
「ソチの決勝戦のアメリカ対カナダを観に行きました。試合のあとの表彰式を観客席から観ているとき、私もあの場にいたいな、メダルがほしいなと強く思いました。それまでは夢でしか、というか、強く意識していなかったように思います。
それに、メダルを獲得することによって付随するものがあると思っています。ソチに出場してから企業さんやいろいろな人にサポートしてもらっています。競技者である以上、プレーで恩返ししたいと思うんです。それはやはり結果ですし、結果として形あるものは何かと考えたらメダル。このチームでメダルを手にしたいですね」
鈴木もまた、メダル獲得へと強い気持ちを向ける。
「メダルを獲りたい理由は2つあります。1つ目は、自分がやってきたことを結果として残したいということです。メダルを獲るために4年間、悔しい思いも抱えながら取り組んできました。今はその時間を形にしたいと思っています。
2つ目は、結果を出す責任が私たちにはあると思うからです。結果を出さなければ注目されることも少なくなります。アイスホッケー界の発展のために、次につなげるためにはメダルを獲らなければいけない、そういう気持ちでやっています」
私たちだけじゃなく、色々な人が喜んでほしい。
藤本と鈴木、そして日本代表選手全員の気持ちを代弁するかのように、大澤はこう語った。
「今こうやって私たちがいい環境の中でアイスホッケーができているのも、いろいろな経験をしてきた先輩たち、サポートしてくださる日本アイスホッケー連盟、企業さんだったり、いろんな人に支えてもらっているからです。そして今の環境がある。私たちだけの結果じゃないというのは、選手全員が感じていると思います。結果を残せば私たちだけじゃなくいろいろな人が喜んで、サポートしてきてよかったなと思ってもらえます。
結果を出すことで喜べたり、変われるのは私たちだけじゃない。いろいろなことが将来につながっているんじゃないかと思っていますし、これからの世代である子供たちに、アイスホッケーってこんな競技なんだと知ってもらえるチャンスでもあります。そのためにはやっぱりメダルを獲ることだという思いでいます」
平昌大会のグループBで、日本はスウェーデン、スイス、そして韓国と戦う。決勝トーナメントに進めるのは2チーム。スウェーデン、スイスは世界ランクでは格上、勝ち抜くのは決して容易ではない。
それでも彼女たちは心をひとつに、自分たちの注いだ時間を信じて戦う。