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トッティ引退後のローマを大改革!
華より“汗をかけ”の兄貴分監督。
posted2018/01/12 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
カルチョの国の“冬の王者”はナポリが戴冠した。
シーズンの半分を折り返した昨年末時点の最多得点チームは勝点差1で追うユベントス。スクデットレースは2強のつば迫り合いが始まっている。
だが、前半戦で最も堅牢な守備を見せたチームはナポリでもユーベでも、ましてや2強に続く3位のインテルでもなかった。
「最少失点とは耳に心地いい響きだね」
堅守の伏兵ローマを率いるのは、就任1年目のOB監督ディフランチェスコである。
前半戦のクラブ勝点記録「44」は惜しくも逃したが、指揮官にとって初挑戦のCLではグループリーグ首位突破という快挙を成し遂げた。
“ポスト・トッティ”元年の今季、ローマは生まれ変わりつつある。
トッティ、中田らと同僚だったディフランチェスコ。
「伝統的にローマは開放的で、放任主義を良しとするクラブだ。ロッカールームのドアは開けっ放しで、誰が入ろうが出ようがまったくの自由だった」
3年前、まだサッスオーロの監督だったディフランチェスコを筆者が取材したとき、彼は現役時代に4シーズンを過ごした古巣のクラブ風土をこう懐かしんだ。
'01年に主将トッティやFWバティストゥータ、MF中田英寿らとスクデットを獲った。ディフランチェスコは、今も仲の良い友人であるモンテッラ(現セビージャ監督)とともに指導者へ転身した数少ない優勝メンバーの1人で、極度の攻撃サッカー信奉者として知られている。
昨シーズンが終わった後、ローマからは多くの人材が流出した。
リーグ2位とCL本戦出場権を得た智将スパレッティがインテルの新監督となり、守護神シュチェスニ(現ユベントス)やFWサラー(現リバプール)といった主力が次々に強豪へ引き抜かれた。
何より存在が肥大化しすぎたともいえるトッティの引退により、その精神的空白が新チームに及ぼす影響は誰にも予想できなかった。今季のローマを率いるのは、どんな監督にとっても難業だったに違いない。