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トッティ引退後のローマを大改革!
華より“汗をかけ”の兄貴分監督。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/01/12 17:00
ローマのエンブレムのもと指揮を執るディフランチェスコ監督。その熱血指導はロマニスタに希望を与える。
華は期待できないからこそ「全員で走れ」。
激しいハイプレスで守備陣をサポートするのは、武骨で質実剛健そのものの中盤だ。
このチームにトッティが持っていたサッカーの“華”はあまり期待できない。「その分全員で走れ」と現役時代に汗かき役のMFだったディフランチェスコは教え込んだ。
試合直前のミーティングでは、攻守の選手一人ひとりに合わせて事前に調べあげたマーク相手の弱点や戦況ごとの対処法などを叩き込む。
0-1と敗れはしたが国内最強とされる相手に互角以上に戦った8節ナポリ戦で自信をつけたローマは、13節のローマ・ダービーで難敵ラツィオを2-1で見事撃破。
さらにグループリーグ突破は困難とされていたCLでも、本拠地オリンピコでチェルシーを3-0で破るなど快進撃を見せ、首位通過を果たした。
「こんなに充実したシーズンの前半戦は今までなかったんじゃないか。ディフランチェスコが就任してくれたおかげだ。チームの守備が昨季までと比べて格段に良くなっている」
多くの指揮官に仕えてきたプロ17年目のベテラン主将MFデロッシも、スクデットの威光を持つ“先輩”には素直に耳を傾ける。
新監督は、大晦日に泥酔状態でSNS動画をアップしたMFナインゴランに、年明けのアタランタ戦でベンチ外としてお灸を据えた。
昨季得点王のジェコがまさかの大スランプ。
気になるのはエースFWジェコのスランプだ。
昨季29ゴールを挙げて栄えあるセリエA得点王となったジェコだが、昨秋以来スランプに苦しんでいる。
開幕直後こそ好調だったが、10月1日の7節ミラン戦を境に当たりがピタリと止まった。
フィジカルコンディションは万全、前線でアシストプレーもこなし、ボールが来なければ自ら中盤まで走る。昨年末までにリーグ最多69本ものシュートを放ったがネットを揺らすには至らない。リーグ最多4度もゴール枠に嫌われて、1ゴールあたりの所要プレー時間も大幅に悪化している。