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トッティ引退後のローマを大改革!
華より“汗をかけ”の兄貴分監督。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/01/12 17:00
ローマのエンブレムのもと指揮を執るディフランチェスコ監督。その熱血指導はロマニスタに希望を与える。
プレシーズンで大敗続き、CLは厳しい組み分けに。
だから、クラブOBであるディフランチェスコの就任が発表されたとき、うるさ型の首都メディアやロマニスタたちは一斉に歓迎した。
まったくの部外者どころか貴重なスクデット経験者、さらに攻撃派で知られる彼のことだから、これまでのようにきっと派手で享楽的な自分たち好みのサッカーをやってくれるだろう。彼らはそう考えていた。
ただし、夏のプレシーズンマッチでセビージャとセルタに計6失点で連敗すると、彼らは掌を返して新監督を経験不足だと詰った。さらに、CLでプレミア王者チェルシーなど過去4季で2度決勝進出したA・マドリーと同組となることが判明すると、ローマを取り巻く熱は急速に冷え込んだ。
ゼーマンは尊敬しているが、カペッロからも学んだ。
恩師ゼーマンから受け継いだ攻撃志向の4-3-3を基礎に置くディフランチェスコだが、彼にはもう1人、師と仰ぐ指導者がいる。ゼーマンの後に就任し、鉄の規律をチームに叩きこんで永遠の都にスクデットをもたらした鉄面皮の名将カペッロだ。
「私はゼーマンを尊敬しているが彼のコピーはしない。ロッカールームをどう掌握するかについては、カペッロから大いに学ばせてもらった。2人の長所をミックスして、私流のチームに仕立て上げる」
新たに正守護神に収まったブラジル代表GKアリソンを中心にした守備陣は、リーグ戦18試合にCL6試合を加えた24試合のうち実に12試合を完封した。連動して壁と化す4年目のDFマノラスと2年目のDFファシオによる巨漢CBコンビを攻略することは至難の業だ。
守備に重きを置きながらも、左にマンチェスター・CからやってきたDFコラロフ、右に韋駄天フロレンツィを置くSBコンビはリーグ屈指のチャンスメーカーとして相手を揺さぶる。