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ハリルとフランス語で話してみる。
頑固な哲学者かオヤジギャグか? 

text by

高橋夏樹(Number編集部)

高橋夏樹(Number編集部)Natsuki Takahashi

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photograph byIchisei Hiramatsu

posted2018/01/05 07:00

ハリルとフランス語で話してみる。頑固な哲学者かオヤジギャグか?<Number Web> photograph by Ichisei Hiramatsu

「哲学者」!? ハリルホジッチ監督。会見などでもごくまれにジョークを言うのだが……そういうときほど真面目くさった顔なのがまたわからない。

「同じことばかり言っている」という批判は本当?

 毀誉褒貶の多いこの人に対する、よくある批判で「同じことばかり言っている」という類いのものがある。たとえば就任当初から選手に「体脂肪率を12%以下にせよ」と通達し、ことあるごとに会見でも選手の円陣でも繰り返している。

 後でわかったことだが、この日のインタビューでもやはり体脂肪率について語っていたくらいで、トップ中のトップのアスリートである代表選手に対して、そんな基本的な体調管理のことでお小言を言い続けるのはどうなのか、というわけだ。

 だが、この体脂肪率問題、たとえば2017年10月のハイチ・ニュージーランド戦の合宿で「12%ライン」に引っかかったのは、全員国内組だったという。体脂肪率を下げることの直接的な意味はともあれ、海外で日常的に大きく速い相手と戦うメンバーはおのずとクリアする、ひとつの目安にはなっているのかもしれない。

 思えば、ヴォルテールは18世紀の「啓蒙主義」の代表的人物。上から目線のお説教、お小言のように聞こえる議論も、理性を重んじる「啓蒙」と言い換えてみると、日本サッカーの底上げのための信念を貫いているような気もしてくる。

 いったいこの人はひたすら頑固なだけなのか、それとも真に日本サッカーを思う信念がゆえにあえて面倒なことを言い続けているのか――。

不意に口にした「ホンダ、オカザキ、シンジ……」。

 そのとき、「ホンダ、オカザキ、シンジ……」という固有名詞が不意に耳に飛び込んできてハッとした。W杯最終予選突破後、ここのところ代表に呼ばれていない「ビッグ3」こと本田圭佑、岡崎慎司、香川真司について監督がコメントしているのだ。

 ハリルホジッチ監督への批判でこれもよく聞くのが、自分の型に選手を合わせさせるばかりで、選手のスタイルを生かそうとしない、というものだ。ブロックを組んだ堅い守備から素早いカウンターで敵守備陣の背後を衝くことをとにかく要求する。ポゼッション志向のプレースタイルの選手は好まれず、指示通りのプレーをしないと呼ばれなくなる。

 本田、岡崎、香川ほどの実績ある選手でも代表落ちしてしまう。もしや、このコメントは彼らへの最後通牒を述べているのだろうか?

【次ページ】 「ヴォルテール、知らないのか? 鹿島の選手だ」

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