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ハリルとフランス語で話してみる。
頑固な哲学者かオヤジギャグか?
text by
高橋夏樹(Number編集部)Natsuki Takahashi
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2018/01/05 07:00
「哲学者」!? ハリルホジッチ監督。会見などでもごくまれにジョークを言うのだが……そういうときほど真面目くさった顔なのがまたわからない。
「ヴォルテール、知らないのか? 鹿島の選手だ」
しかし、と考え直す。ヴォルテールの思想を表わす言葉として「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」というものがある。
ハリルホジッチ監督は「コミュニケーションしろ」という趣旨も口を酸っぱくして言ってきた。自分とプレーに対する考え方が異なっていたとしても、パフォーマンスでそれを主張し、納得させられればそれでよし。好き嫌いで選んでいるわけではなく、パフォーマンスのみを見ているという点で、極めて平等であるような気もする。
ヴォルテールの名前がちょっと出てきたからといって、自分は考えすぎているんだろうか。ヴァイッド・ハリルホジッチの煙幕に騙されているんではないのか。いや、やはり彼には深遠な思惑があって、本大会でグループリーグを突破する具体的な秘策も胸に秘められているのかもしれない――。
冒頭のシーン。キョトンとするカメラマンに向けて、ハリルホジッチ監督は言った。
「なんだ、ヴォルテール、知らないのか? 鹿島の選手だ」
え、これは鹿島の選手を起用する何かのほのめかしなのか!? E-1選手権で起用したのは……昌子源、植田直通、土居聖真、金崎夢生、山本脩斗、三竿健斗だっけ……それとも、会見で何度も言っていた、負傷中の西大伍を見たかったという気持ちを表している? それとも……ただのオヤジギャグ……?
やっぱり、なんだか我々はこの男にずっと煙に巻かれているような気がする。