野球のぼせもんBACK NUMBER
1億円プレーヤー続出のホークス。
連続日本一へ攻守ともに景気よし!
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/01/01 08:00
球界最強の座を手にしつつあるホークス。連続日本一を手にすれば、その地位は確固たるものになる。
中継ぎ、ユーティリティ……脇役に大きな励み。
セットアッパーの岩嵜翔(1億3000万円/6800万円アップ)と森唯斗(1億3000万円/4300万円増)、そしてユーティリティプレーヤーの明石健志(1億円・3年契約/4500万円アップ)である。
球界において、働きぶりほど年俸に反映されないと言われて久しい中継ぎ投手や、ばりばりのスタメンではないユーティリティ選手がこれだけ高く評価された意味は大きい。短期決戦はともかく、長いペナントレースを勝ち抜くのはエースや4番といった個の力ではなく「チーム力」だ。いわゆる「脇役」と呼ばれる立場の選手たちにとって、これは大きな励みになる。
特に、中継ぎ投手を含めたブルペン陣の働きは、今のプロ野球においてシーズン順位に最も影響するポジションだと考えられている。2016年にホークスは「最大11.5ゲーム差」をひっくり返されてファイターズに優勝をさらわれたが、リリーフ陣の不安定さが敗因の一因になった。
圧倒的なリーグVを果たした2017年にしても、その部分においては開幕前には不安要素がかなり大きかった。
岩嵜、森の奮闘に五十嵐亮太も刺激を受けた。
最速161キロを誇る有力なセットアッパー候補だったスアレスが、ベネズエラ代表として参加したワールドベースボールクラシックで右肘を故障。結局トミー・ジョン手術を受けて、シーズン絶望を余儀なくされたためだ。
その大きな穴を、岩嵜と森が本当によく埋めてくれた。岩嵜は前年(35試合)の倍以上となる72試合に投げ、46ホールドポイント(以下HP、前年は10)を記録して自身初となるタイトルに輝いた。この2つの数字はいずれも球団新記録だった。
森は自己最多の64試合、35HPの成績を挙げた。入団から4年連続で55試合以上登板を続けている誰もが認める鉄腕だが、一方で前年までは勤続疲労のためか数字は右肩下がり状態だった。
2017年の森は、シーズン途中に新球種としてツーシームを取り入れるなど「変化を恐れない」姿勢を見せた。この姿勢には他のチームメイトも称賛。特にチーム最年長で同じリリーフ右腕の五十嵐亮太は「唯斗のああいう姿勢は大好きだね。年下だけど見習わないといけないと思ってる」と声を上げていた。