炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープは3連覇&日本一へ団結する。
10ゲーム差の「苦しい年」を越えて。
posted2018/01/02 07:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Hideki Sugiyama
「広島は強かった」――。
2017 年のセ・リーグペナントレースを振り返るとき、多くの人がそう答えるだろう。確かに、2位阪神に10ゲーム差をつけての連覇は“圧勝”と言える。ただ、チーム内に「圧勝」と感じていた者は少ない。「苦しかった」と感じている選手もいるほどだ。
リーグMVPを受賞した丸佳浩も契約更改後の会見で認めた。
「昨季に比べたら、苦しいシーズンだった。'16年に優勝を経験することができて、優勝する難しさを知った上で臨んだシーズン。要所、要所、大事なところがあったけど、そういうところで苦しい試合が多かった。僕としても苦しかった」
他球団からのマークもあったし、勝たなければいけない使命感も感じていた。前年優勝チームとして背負った重圧は想像以上だった。
決して楽に勝ってきたわけではなかった'17年シーズン。
引退した黒田博樹氏に加え、前年沢村賞で2年連続開幕投手のクリス・ジョンソンまで開幕直後から長期離脱した。前年の投手陣の両輪がいない中でシーズンを戦わなければいけなかった。
それでも開幕からチームは白星を積み重ねたが、チームの流れが良かったとは言いがたい。
'16年同様に逆転勝利が多かったが一方で、逆転負けも増えた。
5月6日阪神戦(甲子園)では9点差をひっくり返された。順調に白星を積み重ねながら、何がきっかけでいつ崩れても不思議ではない状況だった。
それでも若い先発陣を野手陣が引っ張り、中継ぎ陣が支えた。そして、どんな難局をも乗り越えられる「団結力」があった。