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女子ハンドボール日本代表の快挙。
欧州の強豪国に勝利するまでの道。
 

text by

田口有史

田口有史Yukihito Taguchi

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photograph byYukihito Taguchi

posted2017/12/20 08:00

女子ハンドボール日本代表の快挙。欧州の強豪国に勝利するまでの道。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

世界選手権の初戦となったブラジル戦。この最初の山場を引き分けでしのいだことは大きい。

ラグビーで言うと、あのW杯南ア戦ほどのインパクト!

 モンテネグロを相手にしての勝利は、喩えるなら2015年ラグビーW杯イングランド大会で日本代表が南アフリカに勝利したのに匹敵するぐらいの価値ある勝利である。

 試合終了と共に、ボールを保持していた角南はそのボールを高く頭上に放り投げ、コート上では多くのチームスタッフと選手が涙を流しながら抱き合うほどの歴史的快挙であったのだ。

 その後日本代表は、この勝利に満足するだけではなく、翌日リオ五輪女王のロシアに28-29と1点差にまで詰め寄っての惜敗。

 さらに、ここで負けると予選リーグで敗退することとなっていたチュニジア戦を、31-13で圧勝。

 ついに……日本ハンドボールの世界選手権参加史上初となる、予選リーグ3位での決勝トーナメント進出を果たしたのである。

東京五輪のメダル獲得の夢まで、あとどのくらい?

 決勝トーナメント初戦では、オランダを相手に延長を含む70分間の死闘を戦い抜いたものの、24-26で惜敗、大会を去ることとなった。

 この「ベスト16」という結果だけを見れば、それほど注目を集めるものではないと思われるかもしれない。しかし、「死の組」に入りながらもデンマーク戦以外のすべてで接戦を演じ、一戦一戦、試合をするごとに強くなっていった戦いぶりは、女子ハンドボール日本代表の未来に、ついに光が射したような気持ちにさせる重要なものだった。

 今回の世界選手権での快進撃で日本が世界の強豪国の仲間入りをしたとは、まだ思わない。メダル争いの常連国とは力の差も当然あるだろう。しかし、強豪国と常に接戦を演じられるレベルに到達して、あとひとつかふたつの幸運を味方につければ……もしかしたら勝つこともできるかもしれない。

 日本ハンドボール協会新体制となってはじめて挑んだ真剣勝負。

 この世界選手権の戦いぶりは、今後もチームの進化が続く予感をはらんでいた。それは、2020年の東京五輪でのメダル獲得の夢も見させてくれるものであった。

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