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中村航輔と川又堅碁……その次は?
E-1のラストチャンスを掴む方法。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/12/11 11:50
代表の新守護神に名乗りを上げる活躍となったGK中村。ファインセーブも含め、完封で抑えた能力は本物だ。
最初に決定機を作ったのは北朝鮮。そして次も……。
最初に決定機を作ったのは北朝鮮で、その次も、そのまた次も北朝鮮だった。
ピッチ上で繰り広げられる攻防から判断すれば、前半の45分を教訓とした改善は見受けられない。
守備の時のCKにおいて、最大3人の選手を前線に残すようにした北朝鮮のほうが、むしろ得点への意欲と工夫を感じさせた。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が交代のカードを切っても、試合の流れは変わらない。
選手たちの頭のなかを占めるのは、指揮官が意図するタテに速い攻撃だ。しかし、スピードを求める代わりに数的優位を作り出せず、相手の守備を崩せないままボールを失ってしまう。
このままではチャンスを作れないと分かっていながら、ポゼッションとの使い分けがままならない。
海外組が加わったチームでも見受けられる、指揮官の崩しのイメージと現実のギャップに、この日の日本も縛られていた。
これがW杯予選やW杯本番なら評価されるが。
スコアレスドローが濃厚となった後半アディショナルタイムに、ゲームはいきなり、そして劇的に動いた。
途中出場の川又堅碁が左サイドからあげたクロスを今野泰幸がヘッドで落とし、走り込んだ井手口陽介がゴール正面から蹴り込んだのだった。
90+3分の決勝ゴールはあまりにドラマティックで、それまでの消化不良感を吹き飛ばす。
これがW杯予選なら、ロシアW杯なら、貴重な勝点3をつかんだものとして評価されるだろう。
今大会は公式戦でありながら、結果がすべてではない。
もっとも重要なのは、国内組の見極めである。
ロシアW杯のメンバーに食い込んでくる選手はいるのか、いるとしたら誰なのかをはっきりさせるための3試合だ。