“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
流経柏・本田裕一郎監督の40年史。
市船との競争に燃え続けた名将。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/12/03 09:00
70代を迎えてもなお精力的な本田監督。その情熱が、流通経済大柏を全国屈指の強豪に仕立て上げた。
「イチから作り上げる」ために流経柏へ。
市船との強烈なライバル関係が続いていた中、本田は周囲が驚く決断をする。
2001年、流通経済大柏の監督に就任したのだ。
「イチから作り上げるという経験に魅力を感じていたんです。それにゼロから市船と台頭に戦える場所まで何とか行って、チャンピオンになりたい。それが非常に大きなモチベーションだった」
“市船1強”状態の中で、流通経済大柏が頭角を現したのは2004年だった。インターハイ初出場を果たした勢いに乗り、高校選手権予選も決勝まで勝ち上がった。市船の6連覇を阻止こそできなかったが、その強化が単なる一過性ではないものを証明したのは翌年だった。
高校選手権の県大会準決勝で市船に雪辱を果たすと、そのままの勢いで同大会初出場。2007年度のインターハイでベスト4に食い込むと、高円宮杯全日本ユース(現・高円宮杯プレミアリーグ・チャンピオンシップ)を制し、高校選手権でも全国制覇を達成。僅か10年足らずで全国屈指の強豪校の仲間入りを果たした。
そして、2013年には高円宮杯プレミアリーグイーストを制すと、ウエスト王者とのチャンピオンシップも勝利。ユース年代日本一の称号を得る栄誉も勝ち取った。
「市船は、ずっと力を落とさないところが凄い」
この実績を踏まえれば「市船・流通経済大柏2強」時代と言っていいだろう。しかし本田はこう市船をリスペクトする。
「市船は、ずっと力を落とさないところが凄い。布からバトンを受けた石渡(靖之)は、布がやってきたことをきちんと踏襲した。朝岡(隆蔵)も2人が積み上げてきたものをきちんと踏襲しながらも、自分らしさを出した。代が変わっても『布イズム』が崩れないまま、きちんと引き継がれていることは凄い。尊敬に値する」
そしてこうも話している。
「流通経済大柏も私も、常に進化しないといけない」