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流経柏・本田裕一郎監督の40年史。
市船との競争に燃え続けた名将。
posted2017/12/03 09:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
タイムアップの瞬間、名将は人目をはばかること無く両手を上げて、満面の笑みを見せた。
第96回全国高校サッカー選手権大会千葉県予選決勝・流通経済大柏vs.市立船橋。
喜びを露わにしたのは、流通経済大柏を率いる本田裕一郎監督だった。
実に5年連続の同一カード。この対戦は、昨年も含めて計3度もインターハイ決勝で激突している(インターハイでは千葉県から2校選出)。
また両校は昨年まで高円宮杯プレミアリーグイーストに所属し、ハイレベルな攻防を繰
り広げてきた。
今年は流通経済大柏がプリンスリーグ関東に降格したため、リーグ戦での直接対決は実現しなかった。だがインターハイ県予選決勝で激突すると、2-1で流通経済大柏が勝利。インターハイ本戦では流通経済大柏が優勝を果たす一方、市立船橋は準決勝で日大藤沢にPK戦の末敗れ、ベスト4に終わった。
「前年度の悔しさを絶対に忘れちゃダメだ、と」
そして11月23日。フクダ電子アリーナで行われた決戦は、2-1で流通経済大柏が勝利を手にした。
「試合前、子供達に『市船には前年度の決勝で負けている。その悔しさを絶対に忘れちゃダメだよ』と言いました。正直に言うと、年代が変わることでそういった出来事は結構忘れたり、薄れたりしてしまうんですよ。なので、そこを徹底するために、まずは指導者である自分がその悔しさを忘れない事が必要。そうしないと子供達には伝わらないので、常に意識していました」(本田監督)
千葉県において市立船橋は今も昔も不動の横綱である。長年にわたって県内のライバル関係は常に「市立船橋vs.◯◯」という図式で語られるのが、象徴的と言えるだろう。。
その「◯◯」に当てはまるチームを2度作り上げているのが流通経済柏、そして本田監督だ。