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転倒寸前のバイクを起こす超絶技巧!!
MotoGP、マルケス/ホンダの偉業。
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2017/11/29 08:00
優勝セレモニーで用意されたサイコロを振ったマルケス……出た目は「6」! 自身6回目の今季優勝を象徴する、笑顔のパフォーマンスとなった。
どのメーカーもほとんど同じ競争力となった今季。
昨年は、タイヤがブリヂストンからミシュランに代わり、加えて、MotoGPマシンのパフォーマンスに大きく影響するエンジン・コントロール・ユニット(ECU)のソフトウエアが共通となり、18戦で9人というグランプリ史上最多優勝者記録が誕生する大乱戦のシーズンになった。
どのバイクメーカーもアドバンテージを生み出せず、そのアドバンテージを生み出すためのストライクゾーンが見えないというバイクメーカーにとっては手探りのシーズンとなった。
その結果、ライダーの実力が試されるシーズンとなったわけだが―- その戦いをマルケスは見事に実力で制したのである。
その最大の要因は、勝てないときに“我慢の走り”を覚えたことだ。
優勝も多かったが、転倒ノーポイントも多く、そのためタイトルを逃した'15年の教訓を生かしたことだった。
シーズンを終わってみれば6勝&12回の表彰台。
新ルールで2年目を迎えた今シーズンは、ヤマハとドゥカティが大きく前進している。
シーズン前半はヤマハ、後半戦はドゥカティが主導権を握るレースが多かったが、その2強を相手に孤軍奮闘するシーンが多かったホンダのマルケスが、6勝を含む12回の表彰台でタイトルを獲得しているのだ。
その最大の要因は、“我慢の走り”に加え、チャンスと思ったときの“攻めの走り”が功を奏したことにあるのは間違いない。