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鹿島名物「食肉のモツ煮」物語。
連覇の瞬間は極上の1杯とともに。 

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池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2017/11/25 09:00

鹿島名物「食肉のモツ煮」物語。連覇の瞬間は極上の1杯とともに。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

フラッと訪れるには少々決意のいるカシマスタジアム。だからこそ「食肉のモツ煮」を食した瞬間の幸福は何ものにも代えがたいのだ。

「モツだけで1試合約200kg使います」

 開場してから試合が始まるまで、とにかく鹿島食肉事業協同組合の前は常に行列ができる。1人で並んで大事そうにネギと七味をかけて食べている人もいれば、みんなの分をまとめて買っているのか、3、4杯一気に頼んで両手がふさがっている人も。1試合でどれだけ売れるのだろう。

「1試合で何杯売れるのか……それは企業秘密かな。ん? モツだけで1試合約200kg使います」

 200kgのモツがどれくらいの量か想像したことがあるだろうか。ただ、ものすごい量だということは簡単に想像できる。「何杯か? そのへんは想像にお任せします」と笑って返す。

 では、これだけの量を準備するのに、どれだけ時間がかかるのだろう。

「1回で200升から250升しか作れないんです。だから、何回も炊かないといけない。うちは必ず当日にスタジアム入りするまでに作り上げるので、逆算して前日から準備して作っていきます」

 1升は約1.8リットル。200升とは約360リットルにもおよぶ。それが1回2時間で完成。出来上がればまた作る。その繰り返しだ。

いつも朝までに用意してスタジアム入り。

「スタジアムに入るのがキックオフの7時間前だから、その30分前までにすべて仕上げないと間に合わない。いつも徹夜で朝までに用意してスタジアム入り。冬場は早い時間帯のキックオフが多いので、いつも寝る時間はないですね」

 スタジアム売店を管理するクラブスタッフも驚くのが、販売予測だ。どれだけお客さんが入るのか、スタッフよりも正確な予測をすることが多いという。

「何人くらい観客が入ったら何杯分を持っていけば足りるかは把握しています。それだけ何年も通っていますから。だいたい予測は立ちます」

 前売りのチケット販売状況を見て、逆算して作る量を決めていく。長年の経験が、より効率的にたくさんのサポーターの笑顔を生んでいる。

「みんな負けたときは選手の悪口なんかを言いながら、僕とは話もしないで帰っちゃう。でも、勝ったときはみんな笑顔なんですよね。勝ったときは声をかけてもらったり、話をしたりすることもあるんですよ」

【次ページ】 「柏戦、前日は20時から準備しますよ」

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#もつ煮

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