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国民全員でセリエA誤審を糾弾!?
ビデオ判定の礎は“名物法廷番組”。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/11/05 07:00

国民全員でセリエA誤審を糾弾!?ビデオ判定の礎は“名物法廷番組”。<Number Web> photograph by Getty Images

今季からビデオ判定システムの本格運用が始まったセリエAだが、じつは約40年も前から映像を用いて疑惑のシーンを議論する人気番組があった。

ミランのモンテッラがビデオ判定に愚痴ったこと。

 今、ビスカルディが30年余訴え続けてきたビデオ判定は「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)」システムという名で現実のものになった。ただ、実際の運用に関して選手や監督の立場からは、不平不満や反対意見が多く投げかけられている。

「我々が戦っているのはグラウンドの上か、それともTVショーの世界か? 私にも我慢の限界がある」

 ミラン監督モンテッラは強い口調でまくし立てた。

 9節ジェノア戦の23分、ミランFKの場面でDFボヌッチが相手DFロージの顔面へ肘打ちを見舞い、VARを使用したジャコメッリ主審はボヌッチへ退場処分を与えた。ボヌッチには同時に2試合出場停止処分も下り、11節の大一番ユベントス戦で守備の柱を使えなくなった指揮官は「こっちはクビがかかってるんだぞ」という恨み節を言い放った。

中断で流れや勢いが削がれることにも不満が。

 不満の理由は、ビデオ判定によって被る不利益はもちろん、VAR使用による中断でプレーの流れや勢いが削がれることだ。

 ボヌッチ退場のケースでは、モニター室で肘打ちを観察していたVAR審判がジャコメッリ主審へ無線で映像確認を進言し、使用を決意した主審は一度プレーを中断。VAR使用のジェスチャーを示した後、グラウンド脇のモニターへ走って行き、自らリプレー映像を確認した後退場を宣告、という分断があった。

 そこで正確な判定を得るためにこれまで存在しなかった手間とタイムロスが生じている。プレーヤーたちがこれを消化し、慣れるにはもう少し時間がかかるかもしれない。

 ビデオ判定にもどこかで必ず見落としは生じる。6節のフィオレンティーナ対アタランタ戦(1-1)では、主審とVAR審判2人の6つの目があっても、ホームチームにPKを与えるべき反則を見逃した。ピオリ監督が嘆いたのも道理だ。

【次ページ】 判定の精度だけでなく、退場や警告も減少中!

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