フランス・フットボール通信BACK NUMBER
イブラ、ネイマールが一目置く男、
カバーニがPSGで布教する“謙虚さ”。
posted2017/11/06 17:00
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph by
Alexis Reau/L'equipe
エディンソン・カバーニがナポリからパリ・サンジェルマンに移籍して、すでに4シーズンが過ぎた。当初はイブラヒモビッチを、今はネイマールを支える黒子的な役割を担うカバーニだが、「影の男」と呼ばれながらもそのチームへの献身と得点力の高さでたしかな存在感を示し続けている。
『フランス・フットボール』誌10月24日発売号は、11月2日にフランスで刊行されたカバーニの伝記『エル・マタドール・カバーニ』(ロマン・モリーナ著、ウーゴ・スポール社)を一足先に紹介している。
関係者が語るエピソードと、カバーニ自身の言葉から浮かびあがってくる真の姿とは……。さわりだけからも、実像は十分に伝わって来る。
監修:田村修一
入団テストで溝にはまった男。
伝記の中では、エディンソン・カバーニの過去が様々な人によって語られている。
頓挫した最初のヨーロッパ移籍の試み、ナポリでの襲撃事件、宿無しの若者への援助、パリ・サンジェルマンのロッカールームでの教訓、そしてサッカーという仕事の難しさ……。以下はその要約である。
「彼の最初のトライアルのことは完璧に覚えている。
ダヌビオ(ウルグアイリーグのクラブ)が定期的に行なっている入団テストで多くの若者が集まった。あるシーンで、彼はヘディングでボールを捉えようとしたが失敗して、ゴールの後ろの小さな溝にはまってしまったんだ。
その数秒後、彼は猛然と走りだしてボールを追いかけた。まるで闘牛の牛のようだったよ」(ダルド・ペレス、ダヌビオの育成コーチ)