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ケインのワンマンチームではない!
レアル撃破トッテナムが見せた地力。

posted2017/11/04 09:00

 
ケインのワンマンチームではない!レアル撃破トッテナムが見せた地力。<Number Web> photograph by AFLO

ストライカーとしてワールドクラスに上り詰めつつあるケイン。スパーズ愛を貫くのか、それとも……。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 11月1日のCLグループステージ4節、トッテナムはレアル・マドリーから3-1と堂々たる勝利を奪って決勝トーナメント進出を決めた。グループステージで敗退した昨季の悔しさを、昨季同大会連覇を果たした王者とのホームゲームで晴らしたことになる。

 ただ対戦前の国内報道は、トッテナムが16強進出を決められるかどうかではなく、ハムストリングを痛めていたハリー・ケインが出場できるかという話題で持ち切りだった。

 マウリシオ・ポチェッティーノ監督が起用可能と明かせば、今度はクリスティアーノ・ロナウドとの比較が始まった。レアルのケインに対する興味が伝えられる中、32歳のロナウドと24歳のケインのどちらを取るかという議論が交わされた。そしてキックオフ前のビッグニュースは、ケインの先発だった。

ペップが口にした「ハリー・ケイン・チーム」。

 こうした報道の背景には「ワンマンチーム」と見る向きがあるからだ。端を発したのはプレミアリーグで首位に立つマンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督の発言だ。優勝争いのライバル勢に言及した際、トッテナムを「ハリー・ケイン・チーム」と呼んだのだ。グアルディオラが意図したかどうかは別として、ケインの負傷も相まってトッテナムは精神面で揺さぶられる結果となった。

 2年連続リーグ得点王が欠場する中で臨んだ、アウェイでのマンチェスター・ユナイテッド戦では0-1で敗戦を喫した。内容的には僅差だったが、ユナイテッドとの対戦で結果を出して、ワンマンチーム説を一蹴することができなかった。

 レアル相手に完勝した後でも、ワンマンチーム説は消えそうにない。2点のリードをもたらしたのはデル・アリだった。昨季から持ち越された出場停止処分が解けた21歳のトップ下、ポチェッティーノ監督が期待を寄せた通りの活躍だった。ロナウドに一矢を報いられる前に試合を決定づけた3点目は、同じく攻撃センス溢れるクリスティアン・エリクセンのゴールだった。

 ただ先制点につながったスローインは、相手DFをゴールライン際まで追い込んだケインのプレッシングによって得たもの。また3点目の場面でもマークを引きつけながらエリクセンにラストパスを送ってアシスト。つまりケインの献身と視野が光っていたのだ。

 スコアシートに名を連ねることはなかったものの、試合の解説を担当したガリー・リネカーが「素晴らしい出来」と讃えたように、得点がなくてもオールラウンドな能力が目を引いたケインの存在感は逆に強まって見えた感すらある。

【次ページ】 ベイルがいるときも「ワンマン」扱いを受けた。

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