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国民全員でセリエA誤審を糾弾!?
ビデオ判定の礎は“名物法廷番組”。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/11/05 07:00

国民全員でセリエA誤審を糾弾!?ビデオ判定の礎は“名物法廷番組”。<Number Web> photograph by Getty Images

今季からビデオ判定システムの本格運用が始まったセリエAだが、じつは約40年も前から映像を用いて疑惑のシーンを議論する人気番組があった。

本当の裁判所に告訴されたが、無事無罪!

 人気が出れば毀誉褒貶は付き物だ。

 '90年代に入ると、誤審を糾弾する番組内容に堪りかねた審判協会が、名誉毀損だとしてついに本物の裁判所にビスカルディを告訴した。

 番組生命危うし、と思われたが、実際の法廷で裁判官は何と審判協会の訴えを棄却。理由は「番組の客観的信憑性は極めて低いものであり、審判たちの権威を脅かすには到底いたらない。よってビスカルディ氏は無罪である」。実質完全勝訴にビスカルディの高笑いが止まらなかったのも無理はない。

 ライバル局が選手の妻や恋人たちを集めた類似番組『火曜日の上訴審』を始めようが、本家は微動だにせず。並外れて図太い神経を持つビスカルディは、メディア界の帝王ベルルスコーニとも一悶着を起こした。

 '93年、『法廷』の生放送中にミランのオーナー会長から電話で猛批判を受けたビスカルディは「上等だ」と啖呵を切ると、抗議のために国営放送を電撃退社。翌月、イタリア初のペイTV局「Tele+」へ転籍し、新天地で『ビスカルディの法廷』というフォーマットそのままの冠番組を始めると、なおベルルスコーニ批判を続けた。

カルチョ・スキャンダルの印象操作関与で評判は失墜。

 番組にとっての大きな分岐点は、'06年のカルチョ・スキャンダル発覚だった。ユベントスGMモッジ(当時)が審判操作疑惑で糾弾されたとき、彼と親交の深かったビスカルディも盗聴捜査を受け、モッジから番組内の印象操作を指示されていたことが明らかになった。

 評判は失墜し、マイナー局への“都落ち”を余儀なくされたビスカルディと彼の『法廷』は、その後ローカル局を転々としながら、2015-16シーズンの放送までしぶとく生きながらえた。

【次ページ】 ミランのモンテッラがビデオ判定に愚痴ったこと。

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