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Bリーグと代表を戦い抜くタフさを!
東京五輪へ男子バスケ強化の道筋。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/10/20 11:30
ここ最近の代表戦でも常連となっている篠山。日々の研鑽がキャリアの充実、そして2020年へとつながる。
スリーポイント7本中1本の成功から得たもの。
もちろん代表での活動は大切だが、選手の日々の成長は所属チームでの活動によるところが大きい。代表とクラブの関係を成長への両輪にするにはどうしたらいいのだろうか。
その成功例として思い出されるのは昨シーズン終盤戦、4月のことだ。22日と23日に川崎ブレイブサンダースはサンロッカーズ渋谷とのアウェーゲームを戦った。その2試合目、数字で見ると篠山は3Pシュートを7本打ちながら、1本しか決まらなかった。
ただ実は、この試合の少し前から篠山はシュートを打つ際に足のスタンスを少し変えていた。またチームとしても前半戦以上にポイントガードが得点を狙う形を増やしていた。篠山自身も様々な取り組みをしており、練習での成功率は高かった。
試合後、篠山は佐藤賢次アシスタントコーチ(AC)から、こんなアドバイスを受けた。
「シュートを入れないといけないと思いすぎているんじゃないか。入れようとするのではなくて、外さないように打てばいいよ」
代表で得た刺激やチームとしての取り組み、そして篠山自身の努力といった様々な状況を踏まえても、このアドバイスは大きかった。篠山も後にこう話している。
「自分の心のモヤモヤというか、何かが取れました。それが大きかったですね」
「外さないように工夫するだけでいいんじゃない?」
見落とせないのは、渋谷戦が代表合宿直後の試合だったということだ。
普通に考えれば合宿のない週に比べて疲労もたまっており、プレーの精度が落ちるのはやむを得ない部分もある。しかし、である。
アドバイスを送った佐藤ACは後に、こう証言している。
「渋谷戦の3Pの成功率は7分の1でしたけど、あの頃から練習ではシュートが入っているけど、試合では入らないという状況が続いていました。もちろん、あの試合に関して入らなかったのは代表の後だったという要因の方が大きかったと思います。
でも、彼はそれを言い訳にはせず、練習で課題を克服しようとしていたんですね。だから、そのタイミングで『シュートを入れようと意識しすぎないで、外さないように工夫をするだけでいいんじゃないの?』というような言い方をしたんです。僕はそれをポロッと言っただけなんですよ」