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ディアドラ、泥だらけの秋華賞制覇。
ルメールの感想は「ごっつあん」。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2017/10/16 11:40
クリストフ・ルメールもディアドラも泥だらけになりながら、念願のGIタイトルを獲得した。
ルメール「ごっつあんです」
勝ちタイムは2分0秒2。良馬場で行われ、ジェンティルドンナが牝馬三冠を達成した2012年の2分0秒4よりも速かった。重馬場らしからぬハイペースだったことの証だろう。
「ごっつあんです。スタートが悪く、後ろのポジションになりましたが、ペースが速かったから心配しませんでした。直線でよく伸びました。調教に乗ったときからいい馬だと思い、今日は自信があった。素晴らしい馬です」とルメール。秋華賞初勝利を挙げた彼は、桜花賞を勝てばJRA牝馬GI全制覇となる。
管理する橋田調教師にとっては、スズカフェニックスで制した2007年の高松宮記念以来10年ぶりのGI制覇となった。
1馬身1/4差の2着はリスグラシュー、そこから鼻差の3着はモズカッチャン。アエロリットは7着、ファンディーナは13着だった。
リスグラシューは仕上がりもレース運びも完璧だったが、切れ負けした。モズカッチャンは1、2コーナーの間で右前を落鉄していなければ、もっと際どかったかもしれない。アエロリットは、速い流れで先行しても掛かるということは、やはり、ベストはマイルあたりなのか。ファンディーナは、自分でレースをやめたようにも見えた。これが実力ではないはずだが、負け癖がついてしまったかのようで、いささか気になる。
春の活躍馬が上位に来たのは、ハイレベルの証明。
ただ、「今年の3歳牝馬は強い」と言われていた春の活躍馬がそのまま上位に来たということは、つまり、この世代のレベルの高さを示している、と見ていいような気がする。
ディアドラも、3着のモズカッチャンも父がイギリスで活躍したハービンジャーだ。力のいる馬場への適性の高さは父譲りか。
ノーザンファームで生まれたディアドラは、母系からもパワーを受け継いでいる。祖母ソニンク(1996-2012)は全欧3歳女王ソニックレディの娘で、2001年に輸入された。仔も孫も活躍しており、初仔アコースティクスの2番仔ロジユニヴァースは、不良馬場となった2009年の日本ダービーを4馬身差で圧勝。6番仔のランフォルセはダイオライト記念や浦和記念などのダート重賞を勝ち、8番仔のノーザンリバーも芝とダート両方の重賞を制している。ディアドラから見ると、ロジユニヴァースはいとこ、ランフォルセは伯父、ノーザンリバーは叔父にあたる。