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ディアドラ、泥だらけの秋華賞制覇。
ルメールの感想は「ごっつあん」。
posted2017/10/16 11:40
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
1996年に創設されて以来、レース史上初めて重馬場で行われた第22回秋華賞(10月15日、京都芝内回り2000m、3歳牝馬GI)を制したのは、クリストフ・ルメールが騎乗した3番人気のディアドラ(父ハービンジャー、栗東・橋田満厩舎)だった。泥だらけになりながら鋭く伸びたディアドラにとっても、また、ハービンジャー産駒にとっても、これがGI初勝利であった。
降りしきる雨のなか、秋華賞の前に行われた第10レース終了後、京都競馬場芝コースの馬場状態が稍重から重になった。
3歳牝馬にとっては過酷な舞台設定となったことを示すかのように、パドックから落ちつきを失っている馬が多かった。しかし、プラス12キロだった前走からさらに12キロ増えた490キロで現れたディアドラは、ゆったりと歩を進めていた。
ラスト100mまでは逃げ切りかと思われたが……。
ゲートがあくと、大方の予想どおり、カワキタエンカがハナに立った。
それを、1番人気のアエロリットと、2番人気のファンディーナが追いかける。向正面に入っても、アエロリットとファンディーナは馬体を併せ、ともに鞍上の指示に反して掛かり気味になっている。
馬群は縦長になり、1000m通過は59秒1。馬場状態を考えると、かなり速い流れだ。
武豊のリスグラシューは中団の内。ディアドラは後方につけ、今回が初騎乗だったルメールにおっつけられるように走っている。
4コーナーを回りながら、ミルコ・デムーロのモズカッチャンが先頭に並びかけた。ファンディーナは手応えが怪しくなり、アエロリットも勢いがない。ディアドラは最短コースの内ラチ沿いを回って進出し、前があくのを待っている。
直線に向くとモズカッチャンが先頭に躍り出た。リスグラシューも脚を伸ばす。ディアドラは、馬群がバラけて生じた進路を通って外に持ち出され、猛然と追い上げる。
ラスト100mあたりでは、モズカッチャンが逃げ込むかに見えた。
しかし、そこからディアドラはケタ違いの瞬発力を発揮し、並ぶ間もなく内の馬たちを抜き去った。