プロ野球列島改造論BACK NUMBER
早くAI審判をプロ野球に導入しろ!
ダンカンが説く「神の誤審」の味わい方。
text by
ダンカンDankan
photograph byKyodo News
posted2017/10/09 08:00
1961年10月29日、日本シリーズ第4戦(後楽園)の巨人vs.南海戦。9回裏巨人2死満塁の場面で宮本敏雄が2点サヨナラ安打を放った瞬間。バッテリーはスタンカと野村克也。主審・円城寺満。
“赤鬼”スタンカと審判・円成寺の激突を味わう。
“円城寺 あれがボールか 秋の空”
1961年の日本シリーズ第4戦、巨人は9回二死の時点で南海にリードされていた。マウンド上には身長196センチで、当時“赤鬼”と呼ばれていた南海のジョー・スタンカが立ちはだかっていた。
そのスタンカ、味方守備のミスもあり二死満塁のピンチを迎える。打席には巨人の4番・宮本敏雄。そしてカウント2-1(当時の表記に従って2ストライク1ボール)から外角のストレートを自信をもって放ったスタンカは、三振と思いマウンド上で躍り上がる……。
しかし! 主審・円城寺の判定は「ボール!」。
怒り心頭で円城寺に詰め寄る赤鬼スタンカ!
結局は仕切り直したのだが、宮本に次の5球目をライト方向へのヒットとされる。
ホームのベースカバーに回ったスタンカは近くにいた審判の円城寺の足をひっかける。
しかし円城寺は上向きに転倒しながらも「セーフ」の判定を下したのだった。そして、土壇場で巨人が逆転勝利をおさめたのだ。
試合後も南海の怒りは収まらず、円城寺を取り囲み少々手荒いこともあったけど――。
もし納得いかない判定なら、機械に抗議するのか?
その試合を観戦していたファンが後にスタンカに贈った川柳が先述した“円城寺……”なのである。
もし自動審判だったとして、こんな納得いかないシーンが大舞台で起きたら、選手は「絶対に間違えない」はずのAIの自動審判に猛抗議するのだろうか?
いや、そもそもその姿がグラウンド上に無いのだから抗議する相手もいないのだ。人間ドラマもへったくれもありゃしないし、球史に残る川柳も生まれんわな……。