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マンU「負の遺産」から一転主力。
モウリーニョ流でフェライニ復活! 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2017/10/07 11:00

マンU「負の遺産」から一転主力。モウリーニョ流でフェライニ復活!<Number Web> photograph by Getty Images

大型センターハーフの先駆者であるフェライニ。そのサイズ感とスケールは、名将のもとで再び脚光を浴びている。

外野に何を言われても平然とする男への信頼。

 状況が好転した理由は、フェライニが「モウリーニョ流」の選手であることが大きい。「ひたすら勝つことに集中して、外野に何を言われても平然としている。同じ姿勢を選手にも求める」とモウリーニョを説明していたのは、チェルシー時代に師弟関係にあったフランク・ランパードだ。

 フェライニを「ファイター」と形容することの多いモウリーニョは、ベンチスタートが続いてもジムでの筋トレや居残り練習を欠かさず、出番を与えられればフィジカルを最大限に生かそうとするこの男を、自らと同じ姿勢の持ち主と見て取ったに違いない。

 ランパードの言葉を続けると「とことん信頼を示して、より自分らしいプレーを引き出してくれる」のがモウリーニョという監督でもある。実際、ファンハールとは違って就任当初からフェライニを「非常に重要な戦力」と公言し続けてきた。同時に、周囲の非難からは徹底的にフェライニを守ってもいる。

 例えば、退場処分を受けた昨季終盤のシティ戦後のこと。セルヒオ・アグエロへの頭突きはメディアで「愚行」と叩かれたが、指揮官は「トンネルで見かけたが、アグエロは鼻が折れているわけでもなく、いつものように男前だった」と語り、間接的に相手FWの反応が大袈裟すぎたと示唆した。またベンチを出た直後にPKを与えてファンの大顰蹙を買ったエバートン戦でさえ、「単純なミスはあったが悪くはない」パフォーマンスと弁護した。

昨季のEL優勝はフェライニ抜きにはあり得なかった。

 11月で30歳になるフェライニのプレースタイルが変わったわけではなく、機動力や足元の技術という弱点が大幅に改善されたわけでもない。それでもモウリーニョ自身も「絆」を強調しているように、自らを信頼してくれる監督の存在と、それに伴う自信回復が貢献度アップをもたらしたと考えられる。

 ユナイテッドが昨季果たしたヨーロッパリーグ(EL)優勝は、フェライニ抜きにはあり得なかった。

 セルタとの準決勝第2レグでの勝利をもたらしたゴールは、この日1本目の枠内シュートでもあるフェライニのヘディングだった。そしてアヤックスを下した決勝では、フェライニのパスがポグバによる先制点を呼んだ。

【次ページ】 ターゲットマンにもボランチ兼ストライカーにも。

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