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J1残留争い、今年のボーダーは?
8勝と考えると新潟、大宮、甲府は。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/10/05 07:00
アルビレックス新潟が置かれた状況はあまりにも過酷だが、可能性が完全に潰えるまで諦めることはないはずだ。
分配金が増えたことで、順位の重要性が増大。
優勝争いでは鹿島アントラーズが抜け出したものの、2位以下のチームにも負けられない理由がある。上位3チームが来季のACL出場権を獲得するのは、昨年までと同じである。
さらに加えて今年のJ1リーグでは、上位4チームが理念強化分配金を受け取ることができる。『DAZN』との大型契約が生み出したもので、2位は来年からの3年間で合計7億円、3位は3.5億円、4位でも1.8億円が配分される。優勝の可能性が消えてもなお全力疾走するモチベーションが、上位チームにはあるわけだ。
さて、J1残留ラインはどのあたりになるのか。
昨年は勝点30の新潟が、一昨年は同34の新潟が、15位でフィニッシュした。さらにさかのぼると、'14年に15位だった清水は勝点36で、'13年の甲府は同37である。'12年は残留ラインがさらに高く、15位の新潟は勝点40だった。
残留するための勝点には、ごらんのような幅がある。そのなかで共通項を探すと、勝星が浮上してくる。
8勝、というボーダーを考えると……。
J1が現行の18チームで開催されるようになった'05年以降、7勝以下のチームがJ1に踏み止まった例はない。8勝しても残留できないケースはあったが、少なくとも8勝が残留の最低条件になることを、データは示唆している。
ここまで5勝の大宮が8勝へ持っていくには、3勝3敗以上が条件になる。上位との対戦を4つも残している彼らの道のりは、相当に険しくなってきたと言わざるを得ない。
16位の甲府は、あと2勝で8勝に届く。残り6試合の対戦相手で、ACL出場と分配金獲得を射程にするのは、30節で対戦するC大阪のみだ。
ドゥドゥとリンスに点を取らせるパターンができつつあり、失点が下位6チームで最も少ないことも加味すると、あと2勝というハードルを乗り越えることは可能だろう。
残り試合の対戦カードは、甲府よりも15位の広島がタフだ。鹿島、川崎、浦和、神戸、FC東京、柏の6チームから2勝をあげなければ、8勝には到達しないのだ。千葉和彦、パトリック、アンデルソン・ロペスらの主力選手が、出場停止にリーチがかかっているのも気になる。