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岡田武史と南場智子が語る
スタジアムという場所の特権性とは。

posted2017/10/05 11:30

 
岡田武史と南場智子が語るスタジアムという場所の特権性とは。<Number Web> photograph by Ishizu Daisuke

日本のスポーツ界を大きく変える動きを野球界、サッカー界で見せている2人の経営者。今後の展開が楽しみだ。

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph by

Ishizu Daisuke

 スタジアムは人を幸せにする。

 非日常の空間に集い、プレーに熱狂し、喜びを感じる。それはサッカーだろうが、野球だろうが変わらない真理である。

 J3昇格を目指すJFL、FC今治のオーナーを務める岡田武史は今夏、今治市から土地の無償貸与を受けて自前で5000人収容のサッカー専用「ありがとうサービス.夢スタジアム」を完成させた。

 観客席からピッチまで8mと近く、柵は設置されていない。海賊船をモチーフにしたつくりで、バックスタンドを設置しないことでメインスタンドからは今治市街と瀬戸内海をのぞむ。9月10日、こけら落としとなったヴェルスパ大分戦では5241人の大観衆を集めた。会場は祭りのイメージで、コンサートあり、グルメあり、インターネットサービスを使っての宝さがしあり。大いに盛り上がりを見せたことからも岡田オーナーが描くフットボールパーク構想は、上々の船出であった。

 岡田オーナーにとって、刺激の源泉となっているのが「コミュニティボールパーク」化構想を実践する横浜DeNAベイスターズである。昨シーズン、2万9000人収容の横浜スタジアムの座席稼働率は過去最高の93.3%を記録した。友達でワイワイ見たい人にはビールサーバーがついたスカイバーカウンター、家族でゆっくり見たい人にはマット敷のリビングBOXシートなど、ニーズに合わせたチケット展開がファンの心をつかんで離さない。

 岡田オーナーは過日ハマスタに赴き、旧知の仲である南場智子オーナーとテレビ愛媛の特別番組内でこれからのスタジアムの在り方について語り合った。

フロントにできるのは、勝敗の外側。

岡田「ベイスターズはお客さんが急激に伸びていった。本当に凄いと思う」

南場「野球自体、強いほうが絶対にいいし、ファンの喜びの大半は試合でエキサイティングなプレーをみられることです。ただ(現場じゃない)我々ができるのは、勝敗に関係なくファンの方に喜んでもらえるかどうか。そのためにコミュニティボールパーク化構想を打ち立てて、新しい観戦スタイルを導入してきました」

岡田「どんなこだわりがベイスターズらしさ?」

南場「たとえば家族で来ても、デートで来ても楽しんでもらえるように。家族で来るなら小さい赤ちゃんもいらっしゃるから、頭をぶつけないように、柔らかい素材のシートを用意するとか、遠い席の方にはモニターをつけてブルペンの様子などいろいろと見ていただけるようにするとか。またデートで来るなら女性がいらっしゃる。そうなるとトイレは使いやすく、もっときれいじゃなきゃいけない」

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