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異常に過熱する巨人vs.DeNAのCS争い。
カギ握る両チーム捕手5人の運命は?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/09/22 08:00
8月の阪神戦にて。試合の流れを変える同点2ランを放ち、ナインに迎えられる宇佐見。
宇佐見は、巨人が最後の最後に切る切り札。
巨人が3位に食い込むための最大の武器は、この4本柱を軸にした強力先発陣である。
最も巨人らしい戦いとは、この投手陣を前面に押し立てて相手の攻撃を封じ、その間に重量打線が爆発するのを待つ。そういう野球のはずだ。
そのために小林の存在感はチームに欠かせぬもの、という評価なのである。
ただ、問題は残り試合が5試合を切ってDeNAに遅れをとったときではないだろうか。
小林の最大の問題が打撃であることは言うまでもない。7、8月には2割4分台の打率を残して、開幕から1割台に低迷していた今季通算打率もようやく2割台に乗せているが、それでも2割4厘である。
特に9月に入って巨人の得点力が下がり出しているのが気になるところだ。9月の6敗中5試合が完封負けで、全16試合中3得点以下の試合が10試合とチームの問題が得点力不足にあることは明白だからだ。
そこでベンチには打力で進境著しい宇佐見真吾捕手がいる。最後の最後で追いかける展開になったときには、守り勝つ本来の野球を捨ててでも、点を取りに行く野球をしなければならない局面が来るはずだ。
そのとき高橋監督は専守防衛の小林から、宇佐見の打力に勝負をかける決断をすることになるはずなのだ。
そういう意味では宇佐見は、巨人が最後の最後に切る切り札であり、逆にいえば宇佐見を先発で使わなくていい展開こそ、巨人が目指す戦い方のはずである。
「3人を状況や投手との相性によってうまく使い分ける」
一方のDeNAはラミレス監督の捕手の使い分けが勝負になる。
「三者三様のリードがあるから、それぞれの配球パターンがある。捕手はもちろん1人に固定するメリットもあるけど、私は3人を状況や投手との相性によってうまく使い分けた方がプラスになると思っている」
DeNAの戸柱恭孝、嶺井博希、高城俊人の3捕手にはそれぞれの持ち味がある。