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工藤監督「CSもいける」とニヤリ。
武田翔太を復活に導いたのは脱力。 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2017/09/15 11:30

工藤監督「CSもいける」とニヤリ。武田翔太を復活に導いたのは脱力。<Number Web> photograph by Kyodo News

9月6日のオリックス戦では最速147kmの直球と120km台のカーブのコンビネーションで8安打無四球完封の投球を見せた。

ファームでトレーニング法を一から見直した。

 8月21日、その数日後に和田毅が復帰することで先発機会がなくなり登録を抹消された。またファーム施設で自分を見つめ直す日々がやってきた。

 悔しかったに違いない。しかし、その時間が奏功した。

「倉野(信次・投手統括)コーチと話し合って、トレーニング法を一から見直し、投球フォームもノーワインドアップからセットポジションに変えました」

 フォームを変更した中で、一番のポイントは左足の使い方だった。

「それまでは、上げた左足を踏み込む際は、スパイクの左側のメーカーのマークがキャッチャーを向いていました。だけど今は、スパイクの裏側をキャッチャーに見せるようにして踏み込むようにしました。もともとやっていた投げ方です。1年目の投げ方に戻したといえば分かりやすいと思います」

 セットポジションも、やはりプロ1年目のフォームだ。

 武田のルーキーイヤーは5年前の'12年シーズンだった。7月に先発で一軍デビューを果たすと、初登板から2試合連続無失点で2連勝を飾った。これは高卒新人として史上初の快挙だった。その後も先発で無傷のデビュー4連勝を果たし、堀内恒夫(元巨人)以来となる46年ぶりの記録に並んだ。その年は11試合で8勝1敗、防御率1.07の成績を残した。

「将棋と同じ。打者の顔を見れば、気持ちが読める」

 もともと特筆すべき野球センスの持ち主。趣味の将棋になぞらえて、こんな話をしていたこともある。

「将棋も野球も考え方は同じです。打者の顔を見れば、気持ちが読める。相手の裏をかいて先を読み、打ち取るというのがピッチングだと思っています」

 かくして一軍に再び戻ってきて最初の登板が、冒頭のバファローズ戦だった。この日はストレートが真っ直ぐ、グンと伸びていた。リリースポイントが改善され、球が走った。

「困ったら真っ直ぐで行けました」

 ところで、100球を超えても続投を志願して132球で9回を投げきったことについて、筆者は男気と評したが、一方で「投げ過ぎ論」を唱える方もいるだろう。しかし、故障につながる多くのケースは、上半身頼りのムリのある投球フォームで投げ続けることに起因しており、武田のフォームはそれに当てはまらないと考える。

【次ページ】 上半身の力を限りなくゼロにして、下半身で投げる。

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