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後藤武敏、CS進出への密かな想い。
「松坂と対戦したいなあ。それが夢」
posted2017/09/15 07:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Kyodo News
今年の春、Number本誌「松坂世代」特集の取材のため、土居龍太郎に会って話を聞いた。
高知高校のかつてのエースは、高知商業・藤川球児、明徳義塾・寺本四郎とともに“高知三羽ガラス”と呼ばれ、その後進んだ法政大学でも、早稲田の和田毅、立教の多田野数人、慶應の長田秀一郎と並んで“東京六大学BIG4”の一角を担った。
自由獲得枠でベイスターズに入団したが、実働3年間で手にした勝利は1つだけ。現在は横浜でリフォーム業に身を投じる土居は、苦戦のプロ生活の背景にイップスがあったことを明かしてくれた。
トレードでマリーンズに移籍し、一軍の登板機会はないまま2007年限りで引退。球界を離れて10年目になったいまも、プロ野球中継には自然と目が向くという。
「やっぱり横浜のことは気になります。あとは同級生。同い年の選手は気になりますよね」
土居に影ながら応援される男、“ごっちゃん”。
そして、「その中でも」と1人の名前を挙げた。
「一緒にチームメイトになったメンバー、特に“ごっちゃん”なんかはね。いま(4月)はまだファームにいますけど、どこかのタイミングで上がってこないかなって。陰ながら応援してます」
土居が“ごっちゃん”と呼ぶのは、G.後藤武敏のことだ。
同じく松坂世代の1人として横浜高校の甲子園春夏連覇を経験し、法政大学で土居と4年間を過ごした。やはり自由獲得枠でライオンズに入り、2011年オフ、ベイスターズへトレード移籍。2人の人生は、微妙な距離を置いて交錯する。
土居の名前を出すと、後藤は言った。
「たまに連絡をもらいますし、ファームの試合を見に来てくれたこともありました。『同級生ががんばってるのが励みになる』って言ってくれるんですよ。そういう言葉もぼくの中で支えになってる」