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今年も凱旋門賞は厳しいのか……。
サトノが前哨戦で直面した芝問題。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2017/09/11 12:30
凱旋門賞へ向けて好スタート、とはいかなかったサトノダイヤモンド(左端)。残り3週間でフランスの重い馬場に対応することはできるか。
日本より10秒ほども遅い勝ちタイム。
サトノダイヤモンドを管理する池江泰寿調教師は、レース前「前哨戦なのだから、何らかの課題が見つかったほうがいい」と話していたのだが、ここまで負けることは想定していなかったのではないか。
後ろから何度も乗っかかられる「アウェーの洗礼」もあったようだ。
敗因はいくつか考えられる。ひとつは、叩き良化型なので、久々の競馬だった今回は状態が本物ではなかったこと。
もうひとつは、日本より10秒ほども遅い勝ちタイムが示しているように、これまで経験してきた競馬とは異質のレースへの対応と、重い馬場をこなすことに疲れ、スタミナを失ってしまったのではないか、ということだ。
外から後続にかわされたとき、それまで左手前で走っていたのだが、右手前に戻して失速した。シャンティーは直線が長いからか、直線で手前を替える馬は珍しくないのだが、今回のサトノダイヤモンドは、苦しくなったから替えたように見えた。
それでもラスト300メートル地点までは、おそらくルメールも余裕を持って勝てると思っていたはずだ。そこからゴールまで、伸び切って駆け抜けるために足りないものを、陣営は、本番までの3週間で補っていくことになるのだろう。
サトノダイヤモンドなら、馬場への対応力も高いはず。
能力のあるサラブレッドは学習能力が高い。サトノダイヤモンドなら、こうした緩い馬場でも、エネルギーをロスせず、ゆっくりと走りながら最後に瞬発力を発揮するための体の使い方を習得できるはずだ。そのために一発勝負ではなく、前哨戦を使う中期滞在の戦術をとっているわけだから、巻き返しに期待したい。
この日、シャンティーでは凱旋門賞の前哨戦がもう2つ行われた。
キズナが2013年、マカヒキが昨年制した3歳馬限定のニエル賞を勝ったのは、ランフランコ・デットーリが騎乗したクラックスマンだった。
そして、牝馬限定のヴェルメイユ賞は、ピエール・ブドーが手綱をとったバティールが制した。