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オーストラリア側から見た日本戦。
「10回やったら6回か7回は……」 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/09/10 08:00

オーストラリア側から見た日本戦。「10回やったら6回か7回は……」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

中盤での争いを仕掛けたオーストラリアだが、井手口陽介らが守る中央を破ることは叶わなかった。

キューウェルやヴィドゥカは純国産ではなかった。

――オーストラリアは、若手の育成も順調に進んでいると思っていた。2011年のアジアカップで、ルーカス・ニールに直接質問したときには、後継者は育ってきていると断言していた。にもかかわらず代表のレベルが落ちているなら、やはり世代交代がうまくいっていないのだろうか? 

 いや、そうではない。オーストラリアのサッカー界では、確実に若い選手が育ってきている。むしろ代表が伸び悩んでいる最大の原因は、構造的なものだと思う。君も知っての通り、かつてのオーストラリア代表には、ヨーロッパのトップで活躍している選手達が揃っていた。

――キューウェル、ヴィドゥカ、ブレシアーノ、アロイージのような。

 彼らは、いわゆる現在のAリーグの申し子ではない。かつての主力組は、ヨーロッパに渡って独自にキャリアを切り拓いてきた側面の方が強い。

 一方、現在のオーストラリアでは、まずAリーグで経験を積み、そこから海外を目指すというのがキャリアアップの筋道になっている。

 しかしAリーグのレベルは、ヨーロッパに比べれば決して高くはない。オーストラリアのサッカー界そのものは過去20年間で大きく成長したが、これからの20年間は、Aリーグ出身で、なおかつヨーロッパで通用するような選手を育てていくことが、大きな課題になってくる。その段階を超えられれば、かつてのような強さを、再び取り戻せるはずだ。

――では、ロングボールからパスゲームへという、スタイルの変化については? 

 個人的には大賛成だ。そもそもFFA(オーストラリアサッカー連盟)は、ロングボールを放り込むフィジカルなプレースタイルからの脱却を目指していた。戦術的に時代遅れだし、限界があるのは目に見えていたからね。そこで現監督のアンジ・ポステコグルーに、白羽の矢を立てた。

 彼はブリスベン・ロワーの監督時代、パスを主体にしたサッカーで、レギュラーシーズンとファイナルシリーズを3度制したし、メルボルン・ビクトリーでも、相応に結果を残している。

――パスを主体にしたプレースタイルへの移行は、きわめて自然な流れであり、必然でもあったと。

 今回のアジア予選のように、短期的には結果が出ないことがあったとしても、オーストラリア代表は絶対に今のスタイルを貫くべきだ。本当に成長したいなら、ロングボールをペナルティエリアに放り込むような路線には、絶対に回帰すべきじゃない。

 プレーオフを突破できてもできなくても、現監督はロシアW杯を区切りに勇退するだろうが方針は踏襲されると思う。私自身は、ジョセップ・ゴンバウという元アデレード・ユナイテッドの監督が、後任に指名されるのではないかと見ている。彼はスペイン生まれの指導者で、やはりパスサッカーを追求している人間だ。

【次ページ】 日本の現在の方向性は「理に適っている」が……。

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