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米ツアーの「選手層」って何なのか。
石川遼を苦しめるシード継続の確率。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2017/09/08 08:00

米ツアーの「選手層」って何なのか。石川遼を苦しめるシード継続の確率。<Number Web> photograph by AFLO

日本で出場すれば軒並み上位争いをする石川遼ですら、米ツアーへの残留をかけて入れ替え戦を戦っている。

日本では、シード枠は半分なのに入れ替わりが少ない。

 一方、国内に目を移すとどうか。

 日本男子ツアーは2015年からフルシード選手(第1シード)を、前年の賞金ランキング上位60位以内と定めている。ちなみに61位から75位までの選手は、第2シードという、前半戦のみの出場を約束された限定的なものだ。

 同制度が施行されて今季は3年目。2017年シーズンはまだ半ばで、'16年までの3年の実績で考えると、賞金ランク上位60人に2季連続で入ったのは47人でシード全体の78.3%、3季連続は36人で60%となった。これは松山英樹らツアーメンバー外選手を除いた上位60人で計算していて、永久シード選手の片山晋呉はいずれもランクインしている。

 日本ツアーでは、年間1円でもツアーで賞金を得る選手が約260人。出場選手数に対するシードの枠は日本の方が少ない。しかし日本ツアーは、米ツアーの半分以下しかポイント/賞金によるシード枠がないにもかかわらず、割合でいうと10パーセントほど、シード権の「維持」がしやすいことになる。

 実力者が次々と入れ替わる米ツアーのペースに対して、日本ツアーはそれがやや鈍いといえそうだ。

上位陣の顔ぶれが毎年変わらないのも日本の特徴。

 さらに日本の“閉塞感”が見え隠れするのが、エリート選手たちに関する数字だ。

 今季の米ツアーレギュラーシーズンは、松山英樹がポイントランキング1位で終えた。

 順位によるポイント配分が大幅に変わる(また、年単位で配分が変更修正されている)プレーオフシリーズを除いて考えると、レギュラーシーズンにおける今季までの2季連続でトップ30で終えたのは12人、3季連続となると7人しかいなかった。

 一方の日本ツアーは昨年シーズン最終戦を終えた賞金ランキングで2季連続トップ30は23人、3季連続でも15人。実力者がどっしり定着している様子をうかがわせる。

 米ツアーの高いレベルを下支えする選手層の厚さは、世界中の優秀なゴルファーがこぞって集結するという事実だけによるものではない。

 年間40試合以上に及ぶ試合数があることで、トップ選手が休養する時期に一気にスターへの階段を上り始める選手もいる。レギュラーツアーに準ずる下部ツアーの充実も見逃せない。構造的な仕組みがあるからこそだ。

 年中巻き起こる、新しい勢力、またカムバックに燃える選手たちの激しい突き上げ。サバイバルレースは何もプレーオフ、入れ替え戦と言ったポストシーズンの戦いだけでないのである。

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