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まず守備、そして「KLM」再結成。
浦和・堀新監督のバランス改善策。 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2017/08/22 17:00

まず守備、そして「KLM」再結成。浦和・堀新監督のバランス改善策。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

今季はラファエル・シルバ加入もあって、3人が並び立つ機会は減っていた。後半戦の逆襲には「KLMトリオ」の攻守両面の奮闘が求められる。

「僕が100回言うより、監督が1回言うほうが」(遠藤)

 コンパクトになったのは縦だけではない。攻撃力がウリの両ウイングバックと両ストッパーが絞り気味にポジションを取るようになった。遠藤が証言する。

「前の選手との守備での連動はかなり変わったと思うし、選手間の距離がいいので、最後の危ないところにも人がちゃんといられるようになった。守備のオーガナイズに関しては、僕もこれまで言ってきたつもりですけど、僕が100回言うより、監督が1回言うほうがチーム全体に浸透しますから」

 新監督の初陣となったJ1・20節の大宮アルディージャ戦は2度のリードを守り切れず2-2のドローに終わったが、ヴァンフォーレ甲府との21節、シャペコエンセとのスルガ銀行チャンピオンシップはいずれも1-0の勝利を飾った。リーグ戦で無失点に終えたのは、4月16日の7節・FC東京戦以来だった。

興梠、李、武藤の「KLM」が見せた鮮やかな連係の一撃。

 守備の安定を取り戻すのがファーストステップなら、8月19日の23節・FC東京戦ではさらなる進化を見せる。それが、攻撃面での改善だ。

 17分の先制ゴールは、李忠成とのワンツーで右サイドを突破した駒井善成が入れたクロスをゴール前で武藤雄樹が落とし、興梠慎三がボレーで叩き込んだもの。攻撃の起点となったのは新助っ人のセンターバック、マウリシオで、そこから遠藤、駒井と渡って興梠が決めるまで、すべてがワンタッチによる電光石火の崩しだった。

 さらに、浦和らしさ全開だったのが、30分の勝ち越しゴールだ。

 興梠とのワンツーで抜け出した柏木が縦パスを入れ、それを受けた李が武藤に預け、さらに武藤がダイレクトで後ろに流す――と、そこに走り込んできた興梠が右足を振り抜いて、ゴールネットを揺らすのだ。

 柏木と「KLM(興梠、李、武藤)」の高い技術と4人のイマジネーションが合致して生まれたゴール。“浦和の攻撃”が戻ってきたことを感じさせる一撃だった。

【次ページ】 攻撃でも春先の“らしさ”を出して行けるように。

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