Jをめぐる冒険BACK NUMBER
まず守備、そして「KLM」再結成。
浦和・堀新監督のバランス改善策。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/08/22 17:00
今季はラファエル・シルバ加入もあって、3人が並び立つ機会は減っていた。後半戦の逆襲には「KLMトリオ」の攻守両面の奮闘が求められる。
攻撃でも春先の“らしさ”を出して行けるように。
2アシストをマークした武藤が言う。
「ここ3試合、守備に重点を置いて戦ってきて、これぐらいやれば守れるという手応えを掴んだので、その中でもう少し攻撃に出ようということだった。ただ、堀さんも今の攻撃に満足していないと思うので、攻撃でも春先の“らしさ”を出して行けるようにしたいと思います」
変わったのは、攻撃だけではない。例えば、プレスの掛け方。FC東京戦ではサイドに追いやるようにプレスをかけ、タッチラインを利用して囲い込む場面があった。同点に追いつかれたはしたが、今度は前線を1トップ2シャドーから2トップ気味に変え、2シャドーの一角だった武藤が中盤に下がって対応する柔軟性も見せた。この日は右ストッパーとして出場した遠藤が証言する。
「中をやらせない守備を意識していて、まず中を締めて、外に出させて奪いに行った。なので自分も、サイドに出るべきか中にいたほうがいいのか、その判断とタイミングに気をつけましたね」
いったん守備に傾けたバランスを、攻撃に戻した。
何かを得ようとすれば、何かを失うのが条理だ。足りなかったもの(守備)を補おうとやっきになるうちに、これまでの強み(攻撃)をすべて失う可能性もあった。
だが、“いったん”守備へと傾けたバランスの針が振り切れてしまう前に、攻撃のほうへと少し戻してみせた。「KLM」というあうんの呼吸のトリオを再結成させることで。このあたりのタイミングとさじ加減は絶妙だ。
浦和が一時の不調から抜け出し、自信を取り戻したことで俄然面白くなってきたのが、ACLとルヴァンカップだ。
8月23日と9月13日にはACL準々決勝が、8月30日と9月3日にはルヴァンカップ準々決勝が行われ、浦和は前者で川崎フロンターレと、後者でセレッソ大阪と対戦する。いずれも攻撃力が魅力なチームが守備のバランスを手に入れ、好調を維持するチームだ。